メニメニハート

メニメニハート

メニメニハート


おもしろかった。爽快な読後感。
性格の違う女の子が入れ替わっちゃう話、と思っていたけれど、それだけではなかった。
マジ子とサギノの中身がすこーしずつ入れ替わっていく最初のころは、楽しかった。
自分の中の他人の目で改めて自分を見直して見ているみたいで、
混乱しながらも、それは新鮮で楽しい体験だった。
新しい世界がどんどん開けていくみたいでわくわくした。
だけど、それだけではすまないのである。


マジ子もサギノも、もともとぼくにとっては「できれば避けたい」種類の子たちだった
と、ぼく、コクニくんは言う。
人の見た目や思いこみって、いかにあてにならないか、と思う。
そして、それは、他人だけじゃなくて、自分自身に対してもそうなんだ。
自分はこんなふうだから、とか・・・それも思いこみにすぎないことはままあるのです。
コクニくんだって、最初に「無害でめだたない」とか、自分で言ってる。とんでもない思い込みだったな。
最初に「こういう子」という説明を信じちゃったからね、なかなか最初に抱いたイメージが抜けなかった。
読んでいるうちに、彼の行動力に、何度も驚かされた。


マジ子とサギノは、一見正反対に見える。
この二人が案外良く似ているのかもしれない、と気がついたのはコクニくんだった。
コクニくんに言われてみれば、ほんとうにそうだった。
入れ替わる必要もないくらいに似た者同士かもしれない。
自分に自信が持てなくて、自分のありのままの姿に気がつけなくて、それぞれに、違った自分を演じていた。
それは辛い。辛いことを辛いと思うこともなくなるくらい頑張っていたんだよね。
彼女たちは、素のままで充分に魅力的なのに。


「混じりあっているように見えるけれど、実は・・・」と、コクニくんが気づく。
人と人と交わって、いろいろな人の言葉や行動を受け入れることで、今まで見えなかった物が見えるようになったり、
気がつかなかったことに気がついたり・・・
さらに一段と輝くのは、誰かのために一生懸命になるとき。
友だちの力は大きい。
人を受け入れれば、自分の行動も変わっていくにちがいない。
そうして、自分の良さに、自分で気がついたり、相手のことをもっともっと好きになったりする。
そのとき、もしかしたら、わたしたちや彼女たちの頭の上で透き通ったいろいろな色のハートがダンスしているかもしれない。


女の子、かわいいなあ。とうれしくなる。
たとえば、丸田さんのことも(この子は見た目大変逞しく見える)、ほんとうはどんな子なんだろう。
きっと、ハート部の有力部員候補なんじゃないか、って気がする。おもしろそうな子だ。
みんな、ほんとうはどんな素敵な魅力を持った女の子なんでしょう。
女の子だけじゃない、男の子もだ。
チョイ役で出てきた、もう名まえ忘れちゃった彼も彼も彼も・・・ほんとうはどんなきらめきを持っているんでしょうねえ。
この本を読み終えるころには、自分のことも、少し余計に好きになる。


ところで、コクニくんお勧めの神崎栗子先生の収納術、わたしも習いたいものです。
台所の引き出しにね、「開かずの」があるのだ。納戸の奥の方の棚も「開かずの」なのだ。
なんとかしないと^^大掃除の季節がやってきました。