ぬい針だんなとまち針おくさん

ぬい針だんなとまち針おくさん (福音館創作童話シリーズ)

ぬい針だんなとまち針おくさん (福音館創作童話シリーズ)


民話みたいだな。
まいごになった王子様を探しに行くお姫様の話のようであり、
魔法にかけられた若者を探しに行く村娘の話のようでもあり。


まち針おくさんが、だんなのことをほめていうことばが素敵だ。
 >「あんなに、ぬい目のきれいな人は、めったにいないよ」
おくさんがだんなのどこに惚れたか、その惚れ方が好きだなあ。
ふふ。


いなくなってしまっただんなを探すまち針おくさんの冒険。
ふたりがまち針であり、ぬい針であることの、
短所が災いすれば「しまったぁ」と思い、
長所を生かして危機を脱すれば、ほっほとうれしいのであった。
さすがまち針とぬい針。


わくわくして、どきどきして、楽しい「ゆきてかえりし」の物語でした。
長さんの絵もよいです。
踊りをおどるまち針おくさん、おかしいよ。やわらかそうで。針なのに。
お話がずっと踊っている。


しかし、縫い針がこんなことになるなんて、ときどき針箱を広げるものとしては、ほんとは怖いことである。
気をつけようっと。