積みすぎた箱舟

積みすぎた箱舟 (福音館文庫 ノンフィクション)

積みすぎた箱舟 (福音館文庫 ノンフィクション)


植民地主義の匂いは仕方がない。・・・きっとそういう時代だったんだ。
動物を片っ端から掴まえて連れて行ってしまうのは・・・こういう時代だったんだろうけど、ほんとはあまり好きになれない。
『虫とけものと家族たち』のジェリーがそのまま大きくなったんだなあ、ちっとも変わっていないなあ。
彼自身の体が大きくなって、財産も大きくなって、
場所がコルフ島からアフリカのカメルーンにかわって、
彼のコレクションの規模が大きくなっただけ。
そんなふうに思った。


と、書くとこの本に反感を持っているような感じになってしまう。
でも、ジェラルド・ダレル・・・彼の感性の琴線が鳴ると、すぐ共鳴してしまう。
のんびりとした現地の人々との交流や会話に、
雄大な美しさに、音が消えてしまうようにさえ感じるアフリカの景色に。
その両方をまるで呼吸するように味わう深い愛情に・・・
そして、自然の神秘を敏感に感知するアンテナを携えていたにちがいない、それが伝わってきます。
コルフ島の続きに、この本があることを思い出させる。
読み終えたあとで、名残惜しいなあ、と思わせる空気感があるのです。


それにしても、彼と行動をともにした相棒のジョンと現地スタッフの苦労が偲ばれます^^