- 作者: ロレンス・ダレル,山崎勉,中村邦生
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 1980/02
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ショートコントというか小話というか。
ヴァルガリアという小国の外交官アントロバスが、外交官生活のなか、でくわした珍妙な事件(?)について語ります。
外交官の生活、大変だろうけど、話題には事欠かないだろうな。
様々な国の様々な人々の様々な慣習や人間性などに触れる機会はごまんとあるにちがいない。
庶民の私から見たら、ふつうに語られても興味津津の話をたくさん聞けそうな気がする。
しかし、その庶民のわたしであっても、「ありえないでしょ! そんなこと!」と即座に言えるアンドロバスの物語。
表題作『逃げるが勝ち』の藁籤に笑い、『パリの小事件』のミリアムに笑った。
作者ロレンス・ダレルは別名「ことばの呪術師」と言われたそうです。
巻末の「ロレンス・ダレルについて」のなかで、作品中に仕込まれてさまざまな言葉遊びについて解説されていました。
ぼけぼけのわたしはほとんど気がつかず読み流していたものばかりでした^^
ただ、わたしの心に残った言い回しは、
「うるさいぞ、雑魚(アンチョビー)め」
思わず噴き出してしまったのだけれど、英語にはほんとにこんな言い回し(雑魚=アンチョビー)があるのでしょうか^^
皮肉でも風刺でもない・・・ですよね、確かに。
全きユーモア小説で、どたばたしてます。ときどき辛辣な笑いもある。
そして、この文脈、覚えがあるぞ、あるぞ・・・と思う。
ふふふ。
弟ジェラルド・ダレルが書いた家族の物語『虫とけものと家族たち』三部作に描かれていた長兄!
長兄ラリー(ロレンス・ダレル=この本の作者)が母と丁々発止とやりあうときの、あの話術を彷彿とさせるのである。
『虫と…』では気難しそうに感じた長兄、こんなユーモア小説も書く人だったんだ。
きっと楽しい人だったに違いない^^