Coots in the North

Coots in the North and Other Stories / Arther Ransome


八つの短編をおさめた本の一番最後が“Coots in the North"でした。
だれが呼んだか、「オオバンクラブ北へ」 このタイトル素敵。わたしもそのように呼ばせてもらおう。


未完の「オオバンクラブ北へ」
ランサムは各章各場面を数行ずつばらばらに書き足しながら物語を書いていたようです。
これはほんとにメモ書き程度。
それでもシリーズ未読の作品がほんの少しでも読めればいいなと思って手に取った本だったのですが、
あまりに魅力的な設定なだけに、読めば読むほどに欲求不満になってしまった。
(でも、もし読まなかったら、もっとずっと欲求不満の度は高かっただろう^^)


夏のノーフォークに取り残されて退屈を持て余した(?)「死と栄光」号の三人が、水路、湖水地方にD姉弟を訪ねていく話。
湖水地方にD姉弟
ということは、当然、ウォーカー兄妹とブラケット姉妹も一緒ということじゃないですか。
オオバンクラブとツバメ号とアマゾン号の子どもたちが接触することなど考えていなかっただけに、わくわく。


わたしは、オオバンクラブのなかでも、死と栄光号の三人組が好きです。
このシリーズの子どもたちって、みんな、割と裕福な子どもたち。
ウォーカー兄妹もブラケット姉妹も、D姉弟も、ノーフォークのトム・ダッジョンも双子も。
その中で、この三人は、庶民の――職人の子どもたちなのです。
夏休みに地元に居残っているのも、そのせいなのですよね。
素朴で素直で元気な三人、いいな、と思います。そして、この三人にスポットライトを当てた物語もいいな、と思います。


きっと盛りだくさんの内容になるはずだった。
魅力的な出会いなんかもあったらしい。
旅路の冒険、出会いの場面など、ちゃんと知りたかった。
何よりも何よりも、子どもたちの再会と出会いの場面を詳しく読みたい。驚き・喜び・興奮など、一緒に体験したかった。
・・・
もう読めないんだね。