盗まれたコカ・コーラ伝説

盗まれたコカ・コーラ伝説 (児童単行本)

盗まれたコカ・コーラ伝説 (児童単行本)


表紙もコカコーラなら、中身もコカコーラ。
しゅわしゅわ泡がはじけそうな本です。


コカコーラ都市伝説というのがあるそうです。
いろいろあるなかで、たとえば・・・
コカ・コーラの原液の作り方は極秘で、知っているのはコカ・コーラ社の重役三人だけで、
レシピが失われるのを防ぐため、その三人は決して同じ飛行機には乗らない。」
こういう都市伝説からこの物語は始まります。


主人公フィザーは、ソフトドリンクならなんでも一口飲んだだけでその銘柄を当てられるという特技を持っています。
銘柄だけではない、瓶入りか、缶入りか、その大きさまで。
そのたぐいまれな才能を見こまれて、親友のツパイとともにコカコーラ・カンパニーの助っ人として招へいされます。
世界一有名なソフトドリンク、コカコーラがなくなってしまうかもしれない。
実は、コカコーラ・カンパニーはある大きな陰謀のど真ん中、会社始まって以来の危機に遭遇していたのでした。
そして、この招きに応じることが、フィザーとツパイにとって、とんでもない冒険の始まりだったのです。


フィザーの特技は、ほとんど超能力に近いのですが、
彼だけではありません。彼の仲間たちときたら・・・よくもまあ、これだけの人材が集まったな、というような才能豊かな面々なのでした。
今回活躍するのはフィザーと親友のツパイですが、ツパイは中学生離れした素晴らしいタフガイなのです。
しかも二人揃って、ちょっとまれに見る好少年。彼らとちょっと一緒に過ごした大人たちはみんなすっかり彼らが大好きになってしまうくらい。
二人とも決して豊かな家庭で育ったわけではないのですが(むしろ貧しい)、二人の屈託のない笑顔に、幸せに育った二人なんだなあ、と思う。
絵に描いたようなかっこいい二人組が、絵に描いたようなスリル満点の大冒険をします。
大人たちがなんともマヌケに見えるくらいの目覚ましい活躍に、拍手喝さいでした。


ここ数カ月、どうにも落ち着かず、そのうえ、鬱々とした梅雨空のした。
なんにも考えずに、ジェットコースターに乗り、両手をあげて「きゃーーっ」とわめいているうちに、高らかなファンファーレに導かれる、
こんな爽快な娯楽小説が読めて、楽しかったです。