ビールと古本のプラハ

ビールと古本のプラハ (白水Uブックス―エッセイの小径)

ビールと古本のプラハ (白水Uブックス―エッセイの小径)


チェコの人たちのビールへのこだわりがすばらしく、ビール道とでも呼びたいような気がする。
そして、本当においしそう。
ビールへの愛は半端ではない。


さらに、古本(と古本屋)への愛も半端ではないのです。
ほとんど一見さんお断りに近いような、知る人ぞ知るのカフェやビアホール・古書店などにたむろする文士たちの「ここだけ」話のなんという楽しさ。
ただ、容易ではない戦後史に翻弄され、名のある古書店が多く姿を消してしまったとのことですが。


お巡りさんに名も知らないビアホールへの道を聞いたら、持参のビールを味見して、店名と行き方を教えてくれる話、
海外出張にも常に適温に冷やした瓶入りビールを慎重に持参する人たちの話、
古なじみのビアホール「黄金の虎」の何年たっても変わらない同じ曜日の同じ席の常連たち(ボフミル・フラバルやミラン・クンデラも)
画家ヨゼフ・パレチェクとの歓談、
町角で思いがけず出会う懐かしい人たちなど・・・


プラハ滞在が長く、その後も何度もチェコを訪れている筆者のプラハへの愛が、どの文章からも滲み出てくる。
それこそビール片手に、親しい友人とノスタルジックな話題で談笑しているような文章でした。
一度もいったことのない遠い国チェコプラハという町が、わたしには古書店とビールの町というイメージになりました。
そして、古書店とビールには、芳醇な文化の香りが漂っているのでした。


万が一、チェコの人とお話する機会があったら「七段目のビール」について聞いてみたい。ほおーって感心してくれるかな。
でもそのあとの会話が続かないだろうから、だめですね^^