1月の読書

1月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4775ページ

ピスタチオピスタチオ
「生」と「死」までも、垣根を取り外して、混ぜ合おうとしているのでしょうか。「棚」は、物語の中でそれを鳥の姿で昇華しています。でも、それはわたしには寂しくてしょうがない。この物語の目指す先も寂しく感じてしまう。ほんとうにそこにいきたいのだろうか。そこにむかうことはよいことだろうか? 未消化です。再読が必要な本です。
読了日:01月30日 著者:梨木 香歩
戦争と平和〈1〉 (岩波文庫)戦争と平和〈1〉 (岩波文庫)
貪欲にコミカルにうごめく貴族の社交生活がおもしろい。戦争しているのにねえ、戦場の緊張感が、うそみたい。第一篇と二篇の雰囲気が行ってくるほどに違うのが皮肉のようですが、まだ物語は始まったばかりなんですよね。しかし、このあとまだ5冊あるんですって? 読み切れるかな〜。早くも泣きごとを言ってしまう。
読了日:01月28日 著者:トルストイ
哲夫の春休み哲夫の春休み
お話は、「いちゃぽーんとさけ」て私たちの背中を押してくれます。それぞれの新しい旅へ。冬の死をはらんだ川・荒れる海も、水が生きているという夏の海や川も、同じ川や海。もっともっとたくさんの表情を持っているに違いないのです。どの海・川も同じように大切に心に刻んで、歩いて行ける旅でありたい、と思います。
読了日:01月27日 著者:斎藤 惇夫
カシタンカカシタンカ
見かけによらない本でした。どう読んだらいいんだろう、と途方に暮れています。まっとうな「行きて帰りし物語」ではない? 「死」に出会う寓話的な(?)場面が印象に残ります。それはリアルに怖くて、深々と美しかった。
読了日:01月25日 著者:アントン・P. チェーホフ
ムーアに住む姉妹 (創元推理文庫)ムーアに住む姉妹 (創元推理文庫)
「まあ、いいか」と流してしまいそうな些細なひっかかりが積み重なって、気がついてみたら大きな事件に深入りしていました。コーンウォールの風景描写の美しさが印象的。主人公の職業が画家、というのも納得です。
読了日:01月23日 著者:ジェイニー・ボライソー
ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
互いの信頼が互いの命を輝かせる素晴らしい記録でした。ことにスズメの晩年を描いた章が好きです。小さなものの、生きるための地道な努力の姿から、力いっぱい生きる勇気をもらいます。
読了日:01月22日 著者:クレア・キップス
オリーヴ・キタリッジの生活オリーヴ・キタリッジの生活
凡庸な人生に見えても、当人はとんでもない大嵐にもまれ、耐えがたい孤独を偲んでいることもあるでしょう。落ちるところまで落ちたところでふと感じる安らぎや、ほっと射してくる光などが、明るいなあと感じることがあれば、もうちょっとこのままやってみようかな、と思える。とっつきにくい、と思っていた人が、読み終える頃には自分によく似た親友のように思えてきました。
読了日:01月20日 著者:エリザベス ストラウト,Elizabeth Strout
ささやき貝の秘密 (岩波少年文庫 (2134))ささやき貝の秘密 (岩波少年文庫 (2134))
わたしたちのまわりにはたくさんの魔法があり、謎があり、冒険がある。それを感じられる心で過ごしたいものです。それを教えてくれた庭師ジェフリーが一番好きでした。
読了日:01月19日 著者:ヒュー・ロフティング
アイルランド・ストーリーズアイルランド・ストーリーズ
人って見かけではわからない。思いがけない秘密を持っていたりする。それは憎むべき過去であったりしたたかさであったり嘘であったり。だけど、彼らの犯した罪はもう許されている、という気がする。その思いが、これら明るくない風景の一瞬一瞬を忘れられない写真に換えていきます。心に残る短編集。
読了日:01月17日 著者:ウィリアム・トレヴァー
冬のデナリ (福音館文庫)冬のデナリ (福音館文庫)
わたしたちもまた、それぞれの山を上っているのかもしれません。山頂の見えない山。多くの危険や思いがけないクレバスが口を開けた平原を歩き、いつまでもやまないブリザードに身を伏ス日もあるのだろう。だけど、いつの日か振り返って、とびきりの笑顔で言えたら、と思います。「イット ウォズ ファン」と。
読了日:01月14日 著者:西前 四郎
ぼくを創るすべての要素のほんの一部ぼくを創るすべての要素のほんの一部
彼らのことを特異で強烈だと思ったし、ありえないと思った。だけど、もしかしたら、自分の姿をデフォルメした肖像と向き合っていたのかもしれないじゃない。さらに、その肖像も、私を作る全ての要素のほんのほんのほんの・・・一部。かもしれない。
読了日:01月13日 著者:スティーヴ トルツ
雪の上のあしあと雪の上のあしあと
生まれてからずっとこの地で暮らしてきた杉みき子さんの豊かな人生に惹かれます。特に、幼いころの経験(読書、喜びや感動、不思議だと感じること)が、現在の自分の礎になっている、という話に共感。わたしは若い時に出会いそびれた古典(今からでも間に合うかな、読めるかな)に、これから出会っていきたいな。
読了日:01月09日 著者:杉 みき子
雲じゃらしの時間雲じゃらしの時間
後半、サムの詩の一言一言がさらに輝き始めるような気がします。失ってしまったものの大きさに反比例するようです。かれた井戸にまた満々と水が満たされることがあるだろうか。それを願いながら、祈りながら、祈りよ届け、と念じながら、「生きているってすばらしいよね!」と歌います。
読了日:01月08日 著者:マロリー ブラックマン
カラス笛を吹いた日カラス笛を吹いた日
鳥と少女の無心な交流に、今までのいきさつを全部忘れて、くすぐったい、うれしい気持ちになっていました。畑を荒らす悪者ではなくて、長い留守のあとやっと帰ってきた家族を迎える喜びの輪舞のよう。父さんも「大きくなったあかちゃんカラス」を見出したのかもしれません。つないだ手がうれしい。最後のぶかぶかのシャツを着た少女の写真に見入っています。
読了日:01月06日 著者:ロイス・ローリー
ローカル・ガールズローカル・ガールズ
こんな状況で、なぜ生きていけるのか、と思うほどだけれど、物語はちっともウェットじゃない。不思議に乾いています。そして、そこはかとないユーモアがある。しみるような薫りもある。各短編の読後感は清涼です。最後の『ローカル・ガールズ』で、ふいに彼女たちは少女期を抜けたのだ、と気づく。辛い少女時代だったはずなのに、なんだか名残惜しい。
読了日:01月05日 著者:アリス・ホフマン
極北の動物誌極北の動物誌
アラスカを舞台に歌い上げた美しくて圧倒的な命の叙事詩。人間の預かり知らない遠い最果ての原野の命のサイクル。残酷で神聖な詩でした。この叙事詩の一部として、生きもののサイクルの中にわたしたち人間も入っているのですよね。人間の果たすべき役割は、破壊者ではないはずですよね。
読了日:01月03日 著者:ウィリアム プルーイット

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