12月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:4879ページ

引き出しの中の家 (ノベルズ・エクスプレス)引き出しの中の家 (ノベルズ・エクスプレス)
(再読)今年の読み納め。この本を閉じながら、幸せな気持ちで今年が終わっていくことがうれしい。(彼女の帰ってくる日を想像するのも喜び) 来年も再来年も、その先も、「徒やおろそかにしちゃいけない素敵な秘密」をそっとしまっておけるような部屋を大切に持ち続けられますように。
読了日:12月31日 著者:朽木 祥
卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))
なんとバカバカしい地獄だろう。この馬鹿馬鹿しい地獄を、軽口をたたき合いながら歩き切った愚直で誠実な若者たちの輝きが印象的。最後まで読み切った時、輪が閉じるように最初に戻る感じがにくい。読んでいる間恐ろしい場面に腰が引けっぱなしでしたが、最後まで読んでよかった。
読了日:12月29日 著者:デイヴィッド・ベニオフ
シカゴより好きな町シカゴより好きな町
(再読)2010年の現在、メアリ・アリスは88歳になっているはず。想像できないけれど、彼女の祖母にそっくりになっているかもしれない。きっと。
読了日:12月27日 著者:リチャード ペック
シカゴよりこわい町シカゴよりこわい町
(再読)三冊の中で一番好きです。子どもたちは若者になり、あっというまに大人になってしまう。時は流れていく。おばあちゃんだけが変わらない。変わらないおばあちゃんがいるって、頼もしいです。
読了日:12月26日 著者:リチャード ペック
聖なる夜に―A SMALL MIRACLE聖なる夜に―A SMALL MIRACLE
聖なる夜だもの、だれも何も言わないけれど、どこかで、小さな奇跡がひっそりと起こっているかもしれない。この静かさがいい。ほんとだ、日本のかさじぞうを思い出します。
読了日:12月25日 著者:ピーター コリントン
シカゴよりとんでもない町シカゴよりとんでもない町
ダウデル夫人は、90に手が届こうという高齢。町の人々もずいぶん様変わりしてしまっただろう、と思っていたら、魔女みたいなおばあちゃんたち、みんないるじゃーん。里帰りした気分。これからもきっと彼女に否応なく関わり、忘れられない思いを抱いて巣立っていく若者たちがたくさん現れるにちがいない。いつまでも元気で。いえ、ずうっと元気に決まってる。
読了日:12月25日 著者:リチャード・ペック
遠まわりして、遊びに行こう遠まわりして、遊びに行こう
この本の魅力は遊びです。遠まわりです。読者をうんと遠まわりさせてくれた。遠まわりさせてくれたけれど、決して迷子にはならなかった。この本の作者は正宗さんみたい。だから、たくさん遠まわりを楽しんだ。おサルはいいな、ほんとにいいな。引率者じゃないから、安心して、笑っていられた。それなのに、じわっとくるところは、しっかり当事者にさせてもらえた。
読了日:12月23日 著者:花形 みつる
人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
お道化として、卑屈に低くなれば、プライドはますます高くなっていくよう。その間に広がっている大きな虚無にのみ込まれてしまったように思えた。「人間失格」・・・自虐な言葉。でも、同時に甘美なナルシズムに酔っているようにも思えます。彼にはナルシズムと自虐は同義語だったのだろうか。それは生の同義の死にもつながっているのだろうか。
読了日:12月21日 著者:太宰 治
津軽 (新潮文庫)津軽 (新潮文庫)
自分が極端に相反する世界を求めていること、そして、どちらの世界からも締め出されていること、それを確認する旅でもあったのかもしれません。それは普通に考えても、不幸だろう。「元気で行こう。絶望するな。」と書いているその言葉はカラ元気のよう。彼の行く末を思うと、なんだか虚しいような気がして、余計にさびしいです。
読了日:12月21日 著者:太宰 治
12月くんの友だちめぐり12月くんの友だちめぐり
素敵な絵ですねー。とぼけたシュールさがいいな。巣箱を出入りする駒鳥が好きです。12か月全部思う存分味わうことができる身がしみじみありがたくなりました。
読了日:12月20日 著者:ミーシャ ダミヤン
シモンとクリスマスねこ―クリスマスまでの24のおはなし (福音館文庫)シモンとクリスマスねこ―クリスマスまでの24のおはなし (福音館文庫)
待ち遠しい日だからこそ、ゆっくり待つことを楽しみたい。待つことが何よりのクリスマスの準備のような気がします。毎日お話をひとつ読む(聞く)ごとに、静かにクリスマスの意味を考えるのもいいですね。
読了日:12月20日 著者:レギーネ シントラー
文士厨房に入る文士厨房に入る
文学が精神の健康にかかわることなら、料理もまたそうなのだ、ということ。くすくす笑いながらも、わりとまじめに学んでしまったかも。古今東西の料理本の奇奇怪怪に関する話はどれもおもしろかったです。続はないかしらねえ。ところで、この本に出てきた様々な料理・食材名、味どころか、形も思い描けないものが多かったけど、英国では普通の家庭料理なのか?
読了日:12月18日 著者:ジュリアン・バーンズ
走れメロス (新潮文庫)走れメロス (新潮文庫)
読んだことがなくてもタイトルは聞いたことがある短編どっさり。名言として知,っている作中の一フレーズもある。だけど、物語を知らずに作中のフレーズを取り出すのは生きた文章を死なせるみたいなものでした。と言いたいくらいに、「富士には、月見草がよく似合う」の周辺にはこんなに豊かな色彩や温度があったのだ、と知りました。
読了日:12月17日 著者:太宰 治
斜陽 (新潮文庫)斜陽 (新潮文庫)
こういう状況で幸福になることのほうが、彼らには、(阿片中毒、酒におぼれること、愛人になること)よりも、精神的には堕落であったかもしれない。一つの滅びであるけれど、この凄み、毅然とした美しさ。彼らは、畏れ苦しみつつ、美しいものを強く求め続けていたのかもしれません。この世の幸福を望む私には見えないかもしれない美しいもの。そんなふうに感じました。
読了日:12月15日 著者:太宰 治
パンドラの匣 (新潮文庫)パンドラの匣 (新潮文庫)
外は焼け野原。自分も仲間もいつ死ぬかもしれない長の闘病生活。それなのに、不思議に平和で明るい。パンドラの匣から最後に出た小さな「希望」のように。ほんとうの明るさも軽さも、底知れぬ闇や重さを知っているからこその沁み入るような輝きなのかもしれません。マンガレリの『四人の兵士』にちょっと似ている。
読了日:12月13日 著者:太宰 治
ノエルカノエルカ
クリスマスそのもののような家庭からあふれ出す幸福が、星のように輝くたくさんの人々を巻き込み、天使の重石を溶かしていくクリスマスイブの物語・・・幸福な気持ちになりました。ポーランドのクリスマスの食卓に興味津津。なかでも気になるオプワテク。その国ならではのクリスマスの家庭の習わしは、趣があり、読むのが楽しいです。
読了日:12月10日 著者:マウゴジャタ ムシェロヴィチ
市立第二中学校2年C組市立第二中学校2年C組
素描集のような一人ひとりの寸切りの一日を読むうちに、集団が見え、個人が見え、そして、ひとりひとりが他人じゃないような気がしてくる。あがいたり、停滞したりしていても羨ましいくらいに研ぎ澄まされて輝いている。彼らを取り囲む大人たちが愚鈍に思えるくらいに。どの子も、いつの日か、そんなこともあったっけ、と余裕で思いだせたら、と思う。
読了日:12月07日 著者:椰月 美智子
ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条
本来、心を自由に解き放つはずの本を読むために、知らず知らずの内に、なんとたくさんの規制を自分に課していたことか、または、いらぬ親切心から人の権利を奪っていたことか、と、初めて気がついたことも多かったです。読書は錬金術。先日読んだ本には「料理は錬金術」と書かれていた。料理も読書も体験を「喜び」に変える錬金術ですね。
読了日:12月06日 著者:ダニエル ペナック
女生徒女生徒
柔らかく、固く、大人かと思えば子どもっぽい。・・・次の言葉が予想できなくて、それが楽しみでもある。なんという瑞々しさ。アンバランスな自分を持て余したり不安だったり。懐かしくもあり、新鮮でもあり、愛おしい。どこの町にもありそうな風景をそのまま切り取った写真もよかった。あの少女に、今朝、あそこの角ですれちがっていたかもしれないとふと思ってしまいます。
読了日:12月03日 著者:太宰 治,佐内 正史
ton pariston paris
旅情が豊かに伝わってきてわくわくしてしまう。色も線も、音楽みたいパリみたい(笑) そして本当に装丁が素晴らしい。黄ばんだ紙の色や浮き出た沁み、巻末のサインまで、そのまま。まるで画家のアトリエにすわって、旅の話を聞きながら、本物の旅の画帳をまるまる手渡されたような嬉しさ。
読了日:12月03日 著者:茂田井 武
比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
ジーヴスとバーティの会話はかなりおもしろい。主従関係を超えて、主導権がどちらにあるかは、火を見るよりも明らか。でも、バーティがいなければ、ジーヴスはただの食えない男かも。彼がこんなに愛すべき男でいられるのは、能天気バーティのおかげかな。やられたなあと思いつつなぜか憎めないよ。最強のコンビ。
読了日:12月02日 著者:P.G. ウッドハウス
ナタリヤといらいら男ナタリヤといらいら男
ナタリアのコブつき逃避行は、突発的でありながら、のんびりしていて、味わい深い場面がいっぱい。ボレイコ姉妹の「料理は錬金術」という言葉は名言だと思う。ちびトラとプィザの丁寧な「失礼ですが」で始まる口げんかがめちゃくちゃ楽しい。そして、どんな時代でも人々は力いっぱい生きているし、幸せになろうとしているのだ、ということが素敵で、元気になります。
読了日:12月01日 著者:マウゴジャタ・ムシェロヴィチ,田村 和子,Malgorzata Musierowicz

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