11月の読書メーター
読んだ本の数:24冊
読んだページ数:5780ページ

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)
運命の分かれ道での間違った選択、と誰もが思うその選択は、彼にとっては、これしかない、という道だったのかもしれない。だれにも理解されなくても。でも、これで満足、だなんて、そんなの、ありでしょうか。こんなにせつない話ってないんじゃないか。
読了日:11月28日 著者:ポール トーディ
ム−ミン谷の十一月 (ムーミン童話全集)ム−ミン谷の十一月 (ムーミン童話全集)
ムーミンの友達にとって、ムーミン一家は夏の輝かしさや楽しさの象徴のよう。だから十一月にはいないのかな。十一月は重苦しくさびしい季節、と思いきや、夏とはまったく別の美しい季節のはじまりだったようです。友人たちにとって、ムーミンなしで暮らした十一月はきっと、夏とは違う彩りのかけがえのない物語になるだろう。美しい場面や思わず立ち止まらずにいられないフレーズに、付箋をたくさん貼りました。
読了日:11月26日 著者:トーベ・ヤンソン
ツリーハウスをつくるツリーハウスをつくる
どのツリーハウスにもオーナーやビルダーの夢・遊び心がいっぱいで、見ているだけでわくわくしました。一番好きなのは「森に浮かぶ船」と名付けられたツリーハウスです。帆船が木の上、緑の枝に覆われている姿がすてき。この船はいまに空に飛び立つのではないかな。もしわたしのツリーハウスを作るなら、どんな感じにしよう、と考えるのも楽しい。どんどん夢がふくらんでいく。
読了日:11月25日 著者:ピーター ネルソン
金曜日うまれの子 (世界の青春ノベルズ)金曜日うまれの子 (世界の青春ノベルズ)
カギをかけたがらない家。いつでも思いがけないお客さんがいるような気がする食卓。この開かれた「家」「食卓」は、たぶん、彼らのひらかれた「心」そのものなのでしょう。満ち足りた読後感は、わたしも、彼らの食卓に招かれたから。
読了日:11月24日 著者:マウゴジャタ ムシェロヴィチ
性悪猫性悪猫
こういう寂しさややるせなさは、自分のなかに置いておくと、少しばかり鬱陶しいけど、猫になって寄ってきたら、よいしょと抱き上げて、やさしく撫ぜてやれるかも。さびしさが猫の形になっている。
読了日:11月23日 著者:やまだ 紫
原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈下〉 (岩波文庫)原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈下〉 (岩波文庫)
原爆の恐ろしさ、残酷さ、人々の忘れやすさ。それとともに、忘れられないこと。たぶん自分の命を救うことだけでもせいいっぱいだったはずのあの日あの時の地獄のなかで、多くの人たちが、他の人たちとともに助かろうとしていたこと、他人を救おうとしていたことが、印象に残ります。私たちの時代は、こういう人たちに礎を築かれたのでした。
読了日:11月23日 著者:
原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈上〉 (岩波文庫)原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈上〉 (岩波文庫)
読み始めた以上、ちゃんと最後まで、せめて一言一句ぬかさずに読み切ることだけが務めのような思いで読んだ。大切に読ませてもらいました。書いてくれたこと、残してくれたこと。本当にありがとう。この本の執筆者たちは、一番若い子なら69歳、一番年長の子ならもう80歳になられるのだ。どうか・・・せめて今が幸せでありますように。
読了日:11月22日 著者:
クレスカ15歳 冬の終りにクレスカ15歳 冬の終りに
登場人物、誰もが主人公のようで、だれの生きかたも印象的。苦しみの中でつながり合い、苦い日々のなかで恋をし、貧しさのなかで分かち合う豊かさなどが残る。子鬼のようなゲニョルカの弾むような登場はとても魅力的で、でも、一番気になった。「ハリネズミちゃん」・・・なんだか、ありがとうと言いたくなる。
読了日:11月20日 著者:マウゴジャタ・ムシェロヴィチ
わすれんぼうなコックさん―7人のコックさんのおいしいお話 (じぶんを見つける物語)わすれんぼうなコックさん―7人のコックさんのおいしいお話 (じぶんを見つける物語)
七人の作家さんによる七人のコックさんのお話。いろいろなコックさんが出てきましたが、おいしいものを作る人はみんな優しい。幸せな気持ちはおなかがいっぱいになることとよく似ている。ほのぼのとした気持ちになりました。忘れっぽい私は、シロツメクサの首飾りがほしい。忘れたものを思い出す方法もふんわりと優しい。
読了日:11月19日 著者:
いちばんここに似合う人 (新潮クレスト・ブックス)いちばんここに似合う人 (新潮クレスト・ブックス)
さびしさでは人は死なないのです(笑) ぐちゃぐちゃになっても、生きているんだなあ・・・ちっとも明るくないけど、めちゃくちゃみっともなく生きていく、生きていけるんだ、という感じがいい。三話目の『マジェスティ』を読んでいるときに、テレビでウィリアム王子婚約を知り、びっくりしました。テレビの中の人(笑)が私の本を見ていて、話をあわせているのかと思ったくらい。
読了日:11月18日 著者:ミランダ・ジュライ
おかのうえのギリス (大型絵本)おかのうえのギリス (大型絵本)
うしをかってくらす人たちのおうちと、シカをしとめてくらす人たちのおうち。大きなおかゆのどんぶり。まじめくさったギリスの顔。じわじわっと滲み出てくるユーモアには、抑え気味のくすくす笑いで答えたい。そしてあの大きなピャーッ!! 一気に気持ちがはじけました。
読了日:11月18日 著者:マンロー・リーフ
スティル・ライフ (中公文庫)スティル・ライフ (中公文庫)
「星」の世界と「狩猟的現実」を「併存」させることが今はできないとしても、「一万年前」にはそれができたこと、自分はそれを知っている、ということ。それが大切なことなんじゃないのだろうか。空に星をさがせないとき、自分のなかに星をさがす。そこに星があるかもしれないと信じられたら、恐竜に乗って去っていく「わたし」を静かに見送ることもできるのだろう。
読了日:11月17日 著者:池澤 夏樹
嘘つき娘嘘つき娘
個性の強い登場人物たち、びっくりの展開にわくわく。(無茶で身勝手なところもあるけど)自分の道を颯爽と切り開いていく気持ちのよさと、若者の至らなさに半分目をつぶって見守ってくれる大人たちの温かいまなざしがいい。ポーランドの暮らしや習慣、経済など、初めて知ることが多く、おもしろかった。カッコ内の訳者註はありがたく、貴重でした。
読了日:11月16日 著者:マウゴジャタ ムシェロヴィチ
風の靴風の靴
(再再)本の扉を開いた瞬間から、まぶしい光の照り返しに魅了されて、ふつふつと嬉しさがこみ上げてきました。これを読んだときにどんな気持ちになるかを知っているから。だから、また読む。ゆっくりゆっくり、光を浴びるように、味わう。新しい本に出会う楽しみとは別の、好きな本を読みなおすことの喜びです。いつまでも読み終わりたくなくて、何度でも読み返したい本・・・至福だ。
読了日:11月14日 著者:朽木 祥
われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)
叶うならば、天才バカボンのパパとの共同執筆本を読んでみたい。(わかっていただけるといいのですが・・・絶賛しているのです)
読了日:11月12日 著者:土屋 賢二
イングリッシュローズの庭でイングリッシュローズの庭で
自分を愛し、自分をかけがえなく思えなければ、人を愛することも愛されることもきっとわからない。二つの大戦のなかで勇気を持って前を向こうとした二人の女性の物語の重みが、主人公を豊かに成長させました。「女でよかった」に胸が熱くなる。魅力的なミス・ヒルダ、いないことが信じられないほどの存在感。あの指輪は、一番相応しい指にはまりましたね。
読了日:11月11日 著者:ミシェル マゴリアン
ガッチャ!ガッチャ!
最初から亡くなることはわかっていたのです。でも爽やかなんですよ。亡くなったあとのことも、とてもいいのです。私もまた年をとるなら、そしてやがて死ぬのなら、自分が死んだあとにこんな素敵な爽やかさが残ったらいいなあ、と思う。そんな生き方をしたいな、と思ったのでした。
読了日:11月08日 著者:ジョーダン ソーネンブリック
きょうというひきょうというひ
(再読)きえないように きえないように・・・ 揺らぎなんですね。揺れているから、そーっと大切にしたいと思うのでしょうね。大切に生きた一日の終りに、祈りをこめてわたしのなかの小さな家に、今日も一つ灯をともす。
読了日:11月07日 著者:荒井 良二
うちゅうの目うちゅうの目
この小さな詩集に付箋は不要でした。気になるフレーズに貼っていったら、たぶん全部のページに貼らなければならなくなってしまう。まどさんのように世界を見ることができたなら、生きていることは素晴らしい不思議、死んでいくことも素晴らしい不思議、そんなふうに思えてくる。
読了日:11月07日 著者:
阿部一族―他二編    岩波文庫阿部一族―他二編 岩波文庫
端正な文章でした。時代とはいえ「殉死」という言葉には抵抗を感じるし、これだけの忠義の末がこれではあまりに浮かばれない、とも思う。だけど、(実際ちんぷんかんぶんではあるのですが)どのような惨めな結果も、家の断絶も最初から覚悟して、ただ純粋に己の思うところを潔く真っ直ぐ歩き切った人たちを称えたいです。
読了日:11月06日 著者:森 鴎外
ノック人とツルの森 (Modern&Classic)ノック人とツルの森 (Modern&Classic)
死から生へ。生を勝ち取るための壮絶な戦いは、最初から「生」を与えられていたものにとっては想像を絶するものにちがいない。顔をあげて、強さを誇示するようなラストシーンは、感動的ですが、同時に今まで気がつかなかった危険なものも露わになったようで、不安になっています。
読了日:11月05日 著者:アクセル ブラウンズ
動物園ものがたり動物園ものがたり
動物園って不思議だねえ。一日、ここにいると、何かがおこるのかもしれないねえ。動物たちは、そんな人間たちをどう思って眺めているのかな。見ごたえあるよなあ、とつぶやいているかもしれない。ヒ・ポ・ポ・タ・マ・ス。うふ、ゆっくり言ったら、ほんとにおまじないみたいだ。
読了日:11月04日 著者:山田 由香
彼岸花はきつねのかんざし (学研の新・創作シリーズ)彼岸花はきつねのかんざし (学研の新・創作シリーズ)
(再読)そのあまりの美しさに、風景が次第に半透明な空気の中に吸い込まれていくような、しまいには真っ白の何もない空間だけが目の前に広がるような気がしてきて、とてもさびしいような気がしてくる。あまりに詩的できれいすぎる文章のせいだろうか。そして・・・これから先に起こることを予想しているから、だろう。あとがきの「子どもが子どもらしく生きることのできる日々が、いつまでも続いていきますように。」という言葉に、そーっと声を合わせよう。
読了日:11月03日 著者:朽木 祥
ぼくたちの船タンバリ (岩波少年文庫)ぼくたちの船タンバリ (岩波少年文庫)
少年が船を通して見つめる未来や大切な人への思い、遠い世界への果てしない憧れ。海はその残酷さも含めてなんて美しい。大人たちの集団のリアルさ。いったいタンバリってなんだろう。最後の子どもたちの覚悟の辛さ・けなげさが愛おしくてたまらない。大人は、こういう子たちを裏切ってはいけないでしょう。
読了日:11月01日 著者:ベンノー プルードラ

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