マグナス・マクシマス、なんでもはかります

マグナス・マクシマス、なんでもはかりますマグナス・マクシマス、なんでもはかります
キャスリーン・T ・ペリー 文
S・D・シンドラー
福本友美子 訳
光村教育図書


博士の愛した数式』や『素数の音楽』のおかげもあって、数学の神秘やロマンを感じ取れる人がうらやましいと思っています。
数学の美しさを感じられないということは、とりかえしのつかない音痴のようで、とてもソンをしているような気がします。


なんでもかんでもはかることが大好きなマグナス・マクシマス、
サーカスから逃げ出したライオンを見たとき、怖いより何より、未計測(?)の対象物がこっちにむかってくる!と、
きっとどんなにかときめいたことだろうね。
わたしには無味乾燥にしか見えない数字ですが、マグナス・マクシマスには、どんなふうに見えるのだろう。
どんな音楽をそこから聞くのだろう。
「マグナス・マクシマスにはからせれば、まちがいない!」と人々はさけぶ。
でも、「まちがいない」以上の意味があるとはだれも思っていないとしたら、それはもったいない。
マグナス・マクシマスの目で、心で、ものをはかってみたいものだ。


そんなマグナス・マクシマスに思わぬ事件がおこり、否応なしに、今まで見ることを知らなかったものを見ることになり、
聞くことをしらなかったものを聞くことになり、
経験することのなかったことを経験することになる。
そして、こういうことを好ましく思う、ということは、マグナスのもともと持ってる感性もまた美しさに敏感だということでもあり、
それは、いままで「はかる」世界で多いに発揮されていたのだ、と思うのです。
ほら、やっぱり「はかる」の世界にはロマンがあるんだ。


マグナスが新しく知ったことは、わたしたちにも理解できる、とても素敵なことで、
彼がそれを知ったことは大変喜ばしいことなのですが、心ひそかに、ずるーい、と思ってしまう。
だって、マグナスは両方の美しさを知っているのに、わたしは片方(それさえ自信を持っては言いかねる)しか知らないんだもの。
そして、そういうことに目覚めたから、今までのロマンよ、さようなら、とならないのが素敵。
いまや両方の神秘とロマンを味わっている幸せなマグナス・マクシマス、
いつかわたしにも、私の見えない神秘、聞こえない音楽を教えてください。