Hate That Cat

Hate That Cat: A Novel  / Sharon Creech / Harper


この本は「あの犬が好き」(感想はこちら)の姉妹編。
『あの犬が好き」で、最後に素晴らしい詩を見せてくれたジャックだったけど、あれ、この本では、詩は書かん、と言っている。
主人公はJackで、先生は、 Miss Stretchberry。どうなっているの?
これは、『あの犬が好き』から一年後。JackはUncle Bill(大学の先生)に、去年書いたあの詩のことを「あれは詩じゃない」と言われてしまったのだ。symbolsとか、 methphorsとか、 onomoto-ナントカとか、 alliter-ナントカとかがないのは、詩じゃないんだって。

『あの犬が好き』が「詩と少年と犬の物語」だったように、「あの猫がきらい」で始まるこの本は「詩(パワーアップした詩)と少年と猫の物語」です。と、同時に、目の見えないおかあさんへの思いの物語でもあります。
おかあさんは目が見えない。でも、見えない、ということは、ちゃんと言葉で書かれているわけではない。ジャックのストレッチべり先生に宛てた手紙(日記)の言葉の端々から「あれ?」と感じるフレーズを読みとっていく。そして、目に見えないお母さんに対するジャックの素直で美しい思いを息を詰めるようにして聞き取る。

Do you feel the sounds
instead of
hear them?

詩がしてくれること。
あふれてくる思いを言葉に変えて謳いあげるということは、いったいどんな意味があるのだろう。
それはもはや単なる言葉ではない。
何か大きなエネルギーになって、詩を詠む人も、詩を受け止める人も、変えていく。心を開放し、解放していく。天高く昇っていく思いのすがすがしさ。
symbolsとか、 methphorsとか、 onomoto-ナントカとか、 alliter-ナントカがどういうものか知り、(それにとらわれることなく)使いこなせるようになりながら。

たくさんのアメリカの詩人たちの作品を読ませてもらったことも嬉しかったです。その詩を受け止める瑞々しいジャックの言葉といっしょに。教室の壁という壁が詩人で埋まっていくストレッチべり先生の教室。先生は、教室にたくさんの素晴らしい心を連れてきた。