木はえらい―イギリス子ども詩集

木はえらい―イギリス子ども詩集 (岩波少年文庫)木はえらい―イギリス子ども詩集
アラン・アールバーグ/マイケル・ローゼン/ブライアン・パテン/
キット・ライト/スパイク・ミリガン/ロジャー・マッガウ
谷川俊太郎川崎洋 編訳
岩波少年文庫


六人の詩人たちが、子どもの歌をうたう。
原詩はちゃんと韻をふんでいるのやいないのや、があるそうですが、堅苦しいことは脇に置いておきましょう。
うふふ、と思わずほくそえんでしまうのは、
ああこんな子いるな、という気持ち。そうだこんなこと思ったのよあのとき、という気持ち。わかるわかる、という気持ち。
子どもが読んだらやっぱり笑うかな。これらの詩を好きっていうかな。


マイケル・ローゼンの詩『物知り博士』は、
「物知り博士 物知り博士」という呼びかけから始まるあれこれのよもやま相談とその回答の数々でつづられた詩。
日本だったらさしずめすっごく短い「彦一とんち話」みたいな珍回答が楽しいのです。
最後の連がお気に入り。

物知り博士 物知り博士
うちのオウムはしゃべりすぎるんです

いい本を読ませなさい

ブライアン・パテンの詩『私は誰でしょう?』は、詩というよりなぞなぞです。
あらほんと、なぞなぞって、『詩』なんだ。
特に古いなぞなぞは、そのリズムや構成の見事さからフレーズをそのままくずさず歌うように暗唱しているもの、ありますよね。


マイケル・ローゼンの『この世の終わり』もいい。
「でも子どもはこの世の終わりと思ってるんだ」に神妙にうなづいてしまう。
大きくなるまでにどんなにたくさん、この世のおわりがきたことか。
数々のこの世の終わりにどんなに身をよじって泣いたことか。
そのほとんどは覚えていないのですよね。
ただ「この世のおわりってわけじゃないんだから」という大人のあきれ顔だけ覚えてたりするのです。


キット・ライトの『デイブ・ダートのクリスマス・プレゼント』に思わずにんまり。
デイブ・ダート、もしや別名とム・ソーヤーでは? 
君のクリスマス・プレゼントを開けることはきっとみんな遠慮すると思うけど、用意するのはすごく楽しそう。


楽しい詩ばかりじゃない。ロバート・マッカウの『夢ぬすびと』やスパイク・ミリガンの『少年兵の話』の醒めた目にどきっとします。
子ども時代は必ずしも黄金の時代ではないのだ、ということを思い出させるのです。
喜びといっしょに不安がちゃんとそこに居座っていることを思い出させるのです。


幾人もの詩人による、幾つもの側面から歌う、どれもこれもいっしょくたにして、まとめて子どもの日々。