今月も、大好きな本に出会えました。
ローレン・アイズリーの「星投げびと」、杉みき子「小さな雪の町の物語」「小さな町の風景」がよかったです。
絵本では、メッシェンモーザーの「リスとはじめての雪」が好きです。

2月の読書メーター
読んだ本の数:28冊
読んだページ数:5134ページ

アーサー・ランサムのロシア昔話アーサー・ランサムのロシア昔話
「ピーターおじいさん」よりも大人っぽいお話が多かった。暗さや皮肉っぽさは、第一次大戦ロシア革命のさなかに書かれた本のせいかな、とも思いました。かなりのお話が、どこかで聞いたことのあるものに似ています。他所の国に似たお話があるのも、昔話のおもしろさ、不思議さかも。
読了日:02月28日 著者:
絵描き絵描き
「ふたりのゴッホ」を読んでいたら、この絵本が気になって引っ張り出してきました。宮沢賢治がいて、ゴッホがいて、混ざりあって、作者のなかに息づいているような気がする。画面の中にところどころ現れてくる空白のなかに、作者は、何を見て、何を描くのだろう。ゴッホや賢治を心に住まわせながら、「絵描き」の旅が始まるのだろうか。
読了日:02月27日 著者:いせ ひでこ
にいさんにいさん
吸い込まれそうな強烈な青と黄がずうっと目に焼きついています。この二つの色が陰と光になって、一人の人間の中に閉じ込められていたかもしれない。それがヴィンセントであり、テオでもあったかもしれない。まるっきり違って見えるのに、まるっきり双子のような兄と弟。こんなにそっくりなのに(そっくりだから)相手を深く思いながら満たされない痛み、悲しみが絵と詩の中からあふれてくる。
読了日:02月27日 著者:いせ ひでこ
ふたりのゴッホ ゴッホと賢治37年の心の軌跡ふたりのゴッホ ゴッホと賢治37年の心の軌跡
「欠けたものを探す旅の人生」という見方から、ゴッホ宮沢賢治を重ねる伊勢さん。著者自身をふたりに重ねているのかな、と思ったのですが、もしかしたら、ふたりに、自分の父親を重ねているのではないか。偉大な父たちの作品も人生も、自分のなかに深く沈めて、そこから、伊勢英子、という芽を出させようとしている。彼女自身の旅を始めようとしている、そんな気がしました。
読了日:02月27日 著者:伊勢 英子
新潮 2010年 03月号 [雑誌]新潮 2010年 03月号 [雑誌]
金原ひとみは子どもの夜泣きに悩まされている。小川洋子は愛犬の疣をとってもらいに獣医さんへ行かなければならない。佐伯一麦によれば、うぐいすは仙台弁風に訛って聞こえるらしい。・・・特集「小説家52人の日記リレー」楽しい。来年もぜひ、と思います。
読了日:02月26日 著者:
夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
音楽と夕暮れ=若さと老い。相反するものを同時に感じている。悲劇は見方を変えれば喜劇だし、老いのなかに若さが浮かび上がることもあるし。少しずつ(または大きく)曲調を変えながら、繰り返されるテーマ。そして、一つの大きな曲になる。悲しくて可笑しな音楽でした。
読了日:02月25日 著者:カズオ・イシグロ
文体練習文体練習
ある一つの場面を99通。よくもまあ書き分けてくださいました。すごく遊び心のある本ですが、あとになるにしたがって、どんどん調子に乗ってきて(?)はっちゃけた感じになってくるのが素敵ったら素敵です。ページ数を示す片端の小さな数字たちまでそのページの文体に合わせて踊っている。「古典的」、いいです。「付録2」も、いいです。
読了日:02月24日 著者:レーモン クノー
僕らの事情。僕らの事情。
そして、「またな、ネイサン」「またな、サイモン」 そうか、「またな」なんだ。またがあるんだ。ネイサンには(二人には)。これは序章にすぎないのかもしれない。新しいページがここから始まる。
読了日:02月23日 著者:デイヴィッド ヒル
小さな町の風景 (偕成社の創作文学 (44))小さな町の風景 (偕成社の創作文学 (44))
小さなスケッチのような物語たちは、あるときはなぐさめであり、共感であり、励ましであり、暗闇の中に見える小さな明かり(近づいてみればそれは明かりではなくて月見草の花であったと気がつくほどの小ささ)でもある。この町は、遠い場所や過去にあるのではない。私の中にきっとある。それが嬉しい。
読了日:02月22日 著者:杉 みき子
小さな雪の町の物語小さな雪の町の物語
物語ともいえないくらい、ほんとうに小さな物語は、小さければ小さいほど、愛おしくて、懐かしくて、嬉しく沁みてくる。たぶん、この町を通して、わたしは自分のふるさとを見ている。そして、子どもたちにとってふるさとになるはずのこの家を見ている。帰れる場所があるっていいものだ。帰らなくても、そこにある、ってだけでいいものだ。
読了日:02月20日 著者:杉 みき子,佐藤 忠良
喋る馬(柴田元幸翻訳叢書—バーナード・マラマッド)喋る馬(柴田元幸翻訳叢書—バーナード・マラマッド)
突然風景が変わるけど、視界が開ける、という感じでもない。天使も、「そこ」から出てきたあのおじさんも、ユダヤ鳥も・・・しょぼくて、みっともなくて、情けないです。どうもならないから笑うしかないような。(時々きつねにつままれたまま物語に置いていかれてますが) 
読了日:02月19日 著者:バーナード・マラマッド 訳:柴田元幸
不思議な文通―グリフィンとサビーヌ不思議な文通―グリフィンとサビーヌ
シュールで不気味で飛び切り美しい絵葉書・絵手紙が二人の間を行ったり来たり。書簡集としてもいいなあ。この謎の雰囲気に半分不安で半分どきどき。そして・・・おお・・・。
読了日:02月18日 著者:ニック バントック
のぼりくだりの…のぼりくだりの…
100歳のまどさんは、真夜中に「俺の耳の奥の奥に」「ごおーっとな」音がするし、「かきながらもう/前かいたんと/ダブッテル」し、自分のこと「アルツのハイマちゃん」と笑いながら、それでもこの人は生きている限り、こうやって言葉と向かいあい続けるんだ。詩人はすごい。そして「サイタハナ/うつくしや!」と。
読了日:02月18日 著者:まど みちお
よろこびの歌よろこびの歌
早春の空高くのぼっていく澄んだ歌声が聞こえてくるような気がします。「100パーセントのボコではないのかもしれない。ボコのなかにデコが隠れている。ボコがデコを導いてくれる。」こんなふうに思いながら暮らせたらいいな。
読了日:02月17日 著者:宮下 奈都
星投げびと―コスタベルの浜辺から星投げびと―コスタベルの浜辺から
聴く気がなければ聞こえない、見る気がなければ見えない、感じる気がなければ感じられない。わたしたちの周りに満ちる声を、姿を、メッセージを、アイズリー博士が教えてくれる。美しい言葉と余韻にとってもよい気持ちになりますが、本当はね、ちゃんと租借できたといえないのです。だから、言葉を心に留めながら、何度も何度も繰り返し、本を開きます。
読了日:02月16日 著者:ローレン アイズリー
ジス・イズ・アイルランドジス・イズ・アイルランド
アイルランドの歴史から始まったこの絵本は今までのシリーズとは雰囲気が違う。静か。そして、ほんとに緑が美しい。伝説と田園とたくさんの教会と、人より数が多いという牛たちの、アイルランド。虹に道を塞がれたら幸運をもたらす妖精に出会えるかも、なんて言われたら、その言葉だけで幸せな気持ちになる。
読了日:02月14日 著者:ミロスラフ サセック
穴 HOLES (ユースセレクション)穴 HOLES (ユースセレクション)
とことん運の悪い少年の逆襲(?)が始まる終盤のおもしろさ。代わり映えしない風景、代わり映えしないノルマ、時々挟まれる昔々の挿話すべてが、物事を収めるべきところに収めるべき鍵になっていくあたり、ほんとパズルみたい。お見事!としか言えません。
読了日:02月13日 著者:ルイス・サッカー
ピーターと象と魔術師ピーターと象と魔術師
みんなそれぞれ自分の居場所ではない場所で生きている。名前を忘れられた犬の存在がとても印象的。強く希望し、願うとき、奇跡が起こる。象が屋根を突き破って降ってくるなんて、奇想天外な物語と思いきや、静かでじんわりと温かく沁みてくる物語でした。時にはこんな静かな話もいいな。
読了日:02月12日 著者:ケイト・ディカミロ
幼女と煙草幼女と煙草
「絶対」善い、とか、悪い、とか、そういう感覚が怖いです。しかし、へろへろです。後味悪すぎる。・・・と思って読了したってことは、作者の思う壺でしょうか。笑って読了の皆様、つわもの揃いです〜。
読了日:02月11日 著者:ブノワ・デュトゥールトゥル
ラブ、スター・ガールラブ、スター・ガール
「みんな」からちょっとずれた「変人」たちの、なんと繊細で臆病な心。彼らの繊細さ、優しさが、スターガールと響き合っていくのはまるで音楽のように美しい。夜明け前の道に日を追うごとに増えていく明かりがとても好きでした。確実にパワーアップしたスターガールに乾杯。最高の読後感でした。
読了日:02月10日 著者:ジェリー スピネッリ
まってる。まってる。
生きることを「待つ」事と考えたことは今までなかったけれど、今日までなんてたくさんの待ちを経験してきただろう。そして、あちらでもこちらでも、いつでもどんなときでも、忍耐強くわたしを待っていてくれる人もいるのですよね。そう思うと嬉しい。
読了日:02月09日 著者:デヴィッド カリ,セルジュ ブロック
秘密の花園〈下〉 (岩波少年文庫)秘密の花園〈下〉 (岩波少年文庫)
あらすじは覚えている、なんて平気で口にしていたことが恥ずかしくなりました。物語もよいけど、細部あちこちに忘れられない場面がたくさん。球根が芽を出し花を咲かせることの奇跡、春が金のトランペットを吹きながらやってくると感じる子どもたちの姿など、見逃せない場面がたくさん。メアリたちの庭には遠く及ばないけど、わたしも気持ちを少しだけ真似させてね。
読了日:02月08日 著者:フランシス・ホジソン バーネット
秘密の花園〈上〉 (岩波少年文庫)秘密の花園〈上〉 (岩波少年文庫)
梨木香歩さんの「『秘密の花園』ノート」がきっかけで、この本を手に取りました。子どものときにはこの本の魅力に気づけませんでした。こんなにおもしろくて素敵な本だったんですねー、びっくりしたり嬉しくなったりしています。
読了日:02月07日 著者:フランシス・ホジソン バーネット
『秘密の花園』ノート (岩波ブックレット)『秘密の花園』ノート (岩波ブックレット)
一冊の本を読み解くことも、梨木香歩さんにとっては新たな作品の創造のよう。それを読むわたしは一冊すごくいい小説を読んだような満足感を味わった。僅か70ページのブックレットなのに。「秘密の花園」ちゃんと読まなきゃって気持ちにもなりました。
読了日:02月06日 著者:梨木 香歩
葛野盛衰記葛野盛衰記
人物ではなくて、むしろ地・地霊に光をあてた歴史。こんな見方、書き方があったのか、とまず目から鱗でした。歴史のなかの小さな駒になりきることに甘んじて生きる人々のけなげさとしたたかさ、清清しさが心に残りました。
読了日:02月05日 著者:森谷 明子
リスとはじめての雪リスとはじめての雪
三匹の動物たちが声もなく空を見あげる表情に、息をつめて見入ってしまう。雪が降ってくる驚き、不思議。待ち焦がれていたものは、想像よりずっとずっといいものでした。初めて雪の中に立った時の子どもの顔を思い出す。
読了日:02月03日 著者:ゼバスティアン メッシェンモーザー
ジス・イズ・サンフランシスコジス・イズ・サンフランシスコ
のぼっておりてのぼっておりての坂道に、チンチンとかわいい音をたてながらゆっくり走るケーブルカー。霧を運んでくるサンフランシスコ湾。泣く子も黙るアルカトラズ刑務所。カニを食べたフィッシャーマンズワーフ。ン十年前、新しい靴を履いて初めて訪れた海外の街がここでした。
読了日:02月02日 著者:ミロスラフ・サセック
スターガールスターガール
「彼女は、わたしたちの本来あるべき姿、もしくはわたしたちの過去の姿か」というアーチーの言葉が印象的。だからみんなスター・ガールに惹かれ、同時に疎ましく思う。スター・ガール、どこでどうしているのだろう。ヤマアラシのネクタイが小さな希望を運んでくる。星のように。
読了日:02月01日 著者:ジェリー・スピネッリ,千葉 茂樹,Jerry Spinelli

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