落ち着かない一月で(3月まではきっとこんな感じ)集中して読めなかったなあ、と思っていましたが、こうやって眺めてみると、わりと読んでいました。
「ホワイトティース」や「ステフィとネッリの物語」など、達成感を感じる本も読めたし。
エッセイでは「ベルリンの瞬間」、絵本では「ジスイズ」シリーズがおもしろかった。

1月の読書メーター
読んだ本の数:24冊
読んだページ数:5520ページ

ソナチネの木ソナチネの木
昔見た懐かしい風景や、嘗て知っていたような気がする感情が呼び覚まされるような透明な詩句・・・気がつけば安野さんの絵を透かして楽譜がうっすらとのぞいているのです。やっぱり音楽の本なんだ、これ。楽譜からはみ出して、本からもはみ出して、音楽がこぼれだす。
読了日:01月31日 著者:岸田 衿子
青い野を歩く (EXLIBRIS)青い野を歩く (EXLIBRIS)
沈鬱、停滞、忍従、罪悪感、静かな怒り・・・彼らは現状を打破しようとはしない。愛なんてないし、再生なんて言葉も絵空事。でも、このまま逃げず黙して行き着く所まで歩いていこうとする姿がいい。美しい牧歌的な風景描写と暗く閉ざされた人の心の描写との対比は御伽噺のようにも思えます。
読了日:01月30日 著者:クレア・キーガン
てぶくろがいっぱいてぶくろがいっぱい
雪景色を背景に、一列に並んで吊るされた赤い手袋がかわいいやら、美しいやら、なんとも言えん。
読了日:01月29日 著者:フローレンス・スロボドキン
雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)
「実験をしないでもっともらしいことを言う学者の説明は、たいていは間違っているものと思っていいようである」「途中の道草がどれも、後になってみると、それぞれ役に立っている」・・・目新しい言葉ではないのに、どきっとするのは自分の毎日に余裕がないから、と思い当たる。
読了日:01月28日 著者:中谷 宇吉郎
ベルリンの瞬間ベルリンの瞬間
ディートリッヒに似たタクシードライバーやハンザ・ホテルの思い出、アウシュビッツに思うこと、芸術家たちとの語らい、カフカを追いかける旅・・・もっともっと聞かせて欲しい。でも、本当はベルリンでなくてもよかったのです。平出さんの静かで丹精な案内を請いながら異国の町を歩き回り、眺め回し、何よりもその空気を吸って吐いて、の呼吸をするのがとても楽しかったのです。
読了日:01月27日 著者:平出 隆
赤い鳥を追って (ユースセレクション)赤い鳥を追って (ユースセレクション)
「めぐりめぐる月」の姉妹編ということで、サラの3000キロと、この本のジニーの25キロをついつい比べてしまうのですが、わたしは、ジニーの25キロが好きです。物理的な距離は短いし、見える風景は地味ですが、ひとりもくもくと歩み、着実に道を掘り起こし、立ち止まり、行きつ戻りつ、何度も往復し・・・そんな歩き方が好き。
読了日:01月26日 著者:シャロン・クリーチ,もき かずこ,Sharon Creech
雪の結晶ノート雪の結晶ノート
科学って美しいものなのじゃ、と素直に思える美しい科学絵本でした。最近は雪と聞くと憂鬱でしたが、久々に「雪、降らないかな」と楽しみな気持ちになりました。中谷宇吉郎さんの言葉が引いてあるのもよかったです。「雪は天からの手紙」・・・科学者って詩人のよう。
読了日:01月25日 著者:マーク カッシーノ,ジョン ネルソン
ホワイト・ティース(下) (新潮クレスト・ブックス)ホワイト・ティース(下) (新潮クレスト・ブックス)
作中のどの人をとっても、本当に理解した、とは言いがたいけど、移民として、他国で、自分の生きかたを貫くことの難しさ、また世代間のより深刻なすれ違いなど、垣間見たような気持ち。だけど、それがどうした、生きていくしかないじゃん、という開き直りのようなものを感じて妙に爽やか。なんだか力が湧いてくるような気がします。
読了日:01月24日 著者:ゼイディー スミス
ホワイト・ティース(上) (新潮クレスト・ブックス)ホワイト・ティース(上) (新潮クレスト・ブックス)
肌の色が違う。祖国が違う。宗教も主義も違う。集まれば人の話は全然聞かず自分の言いたいことを主張するばかり。ゴマンとほざいた無駄口を撤去すれば、互いの人生への共感が見える。
読了日:01月22日 著者:ゼイディー スミス
Swallows and AmazonsSwallows and Amazons
そういえば、船の代名詞はsheなのですね。すっかり忘れていたけど。ウォーカー兄弟がツバメ号のことをsheと呼んでいるのは、だから当然なんだけど、そこを読むたびにほかっと温かい気持ちになりました。ツバメ号、生きて人格を持ってるみたい。彼らの仲間みたい。
読了日:01月20日 著者:Arthur Ransome
獣の奏者 II 王獣編獣の奏者 II 王獣編
畳み掛けるように物語がぐいぐいと進んでいく。ダイナミックなファンタジーでした。「掟」は破るべきか従うべきかではなくて、「掟」の先を見極めようとする主人公の深い孤独と強さに打たれます。最後が美しいです。読み終えて、主人公を囲む忘れられない登場人物たちの顔が思い浮かんできます。(ジョウン、好きだったな)
読了日:01月19日 著者:上橋 菜穂子
獣の奏者 I 闘蛇編獣の奏者 I 闘蛇編
次々にたくさんの箱を開けて、中に入っているものを覗いてみたような気がする一巻。それらがどのように関係し、形を変えていくのでしょう。個性豊かな登場人物も揃っているし。中でも主人公エリンの聡く素直な性格がほほえましくて、今後が楽しみです。
読了日:01月17日 著者:上橋 菜穂子
孔雀の羽の目がみてる孔雀の羽の目がみてる
感性豊かな詩人の言葉ですが、ちっともふわふわしていなくて、率直でごまかしがない。ぼーっと読んでいると足もとをすくわれるような気がします。その気の抜けなさがおもしろい。
読了日:01月16日 著者:蜂飼 耳
13の理由13の理由
いつでも私自身が14番めの理由になり得たことが怖ろしかった。もしそうでないとしても取り返しのつかない思いは消えません。最後に見えた小さな光は、無意識の(故意の?)闇に気づいた者に投げかけられた課題でもあるでしょうか。
読了日:01月14日 著者:ジェイ・アッシャー
ジス・イズ・パリジス・イズ・パリ
猫たちも芸術家もみんな仲良くパリの風景の一部になってる。郵便ポストもエレガント。おまわりさんも、たまたたまブルターニュ地方からやってきただけの農婦も、モロッコからきたカーペット売りも、サル山のおサルさんまで、なんだかみんなエレガント。
読了日:01月14日 著者:ミロスラフ・サセック
ジス・イズ・ニューヨークジス・イズ・ニューヨーク
ニューヨークは、世界でもっとも高い、もっとも大きな、もっとも多くの・・・という形容詞が並ぶ都市。世界でもっとも小さなホットドッグスタンドまで。火事のための90,000ヶ所もの消火栓の別の用途が、気に入っています。少年たちの商売の出発点として、というの。
読了日:01月14日 著者:ミロスラフ・サセック
ジス・イズ・ロンドンジス・イズ・ロンドン
あっさり、すっきりとした画面は上品で美しく、動きよく配された絵に、活気ある大都会を体一杯に感じます。この躍動感。ページをめくりながらロンドンの市内観光をしているみたい!楽しい散歩を、ありがとう。
読了日:01月12日 著者:ミロスラフ・サセック
宮殿泥棒 (文春文庫)宮殿泥棒 (文春文庫)
大きな冒険を求めるよりも、社会のルールからはみ出さないように、来る日も来る日もこつこつとひたすら地道に、同じ歩調で歩いてきた人。彼らがふと見せる小さな抵抗、小さな開き直り・・・変わり映えしない風景に一瞬違う風が吹く。誰も気がつかなくても、きらり輝くものがある。この小さな爽やかさに、ふっと気持ちが軽くなる。
読了日:01月11日 著者:イーサン ケイニン
大海の光―ステフィとネッリの物語大海の光―ステフィとネッリの物語
長く苦しい「旅」をしてきた二人。自分にできる精一杯のことをやって生きてきた。「旅」はこれからも続く。この地に初めてやってきたとき「この世の果て」と呼んだステフィが今、「この世の真ん中」と呼べるようになった事がこれからの彼女の旅への餞のように思いました。新しい旅に出る二人、良い旅であるように。
読了日:01月09日 著者:アニカ トール
海の深み―ステフィとネッリの物語〈3〉海の深み―ステフィとネッリの物語〈3〉
ネッリもステフィも、自分が何者なのか、彼女たちなりに考え始める。宙ぶらりんの辛さが生々しいです。大人への成長途上の少女たちの姿がリアルで、異常な状況が痛々しかった。テレジン収容所から届く父母からのはがき。30語制限の語数いっぱいに、娘への愛を篭めた言葉に胸がいっぱいになる。
読了日:01月07日 著者:アニカ トール
睡蓮の池―ステフィとネッリの物語睡蓮の池―ステフィとネッリの物語
いろいろな人たちに揉まれ、何か起こるたびに深く考え、ステフィは成長していく。平和な時代だったら、親と思う存分衝突して、思う存分自分本位でいられた青春期。離れて暮らす両親を思い、謂れのない良心の呵責に苛まれたり、「なぜわたしはいつも不安を抱えていなければならないの?」と悩む姿が痛々しい。良い師と友を得たことがうれしかった。
読了日:01月06日 著者:アニカ トール
海の島―ステフィとネッリの物語海の島―ステフィとネッリの物語
12歳のステフィが一年間に味わった苦しみや孤独に胸が痛む。両親の元に帰りたい、が、両親を助けたいという健気な思いに変わっていくことに打たれ、そのような形で成長しなければならなかった子が不憫でたまらない。でも気になるのはむしろ屈託のないネッリ。彼女は大人になった時、何人になろうとしているのか、そんなことを思って気が揉めます。
読了日:01月04日 著者:アニカ トール
こどものとも年少版 2010年 02月号 [雑誌]こどものとも年少版 2010年 02月号 [雑誌]
怖い夢もおねしょも、子どもにとっては安眠の大敵。そして、一緒に寝る母にとっても大敵だったなあ。居住まい正してお願いしてみたくなる。「まかせろ まかせろ おれにまかせろ」と、夢うつつで、そんな返答が聞けたらなんと頼みになることか。
読了日:01月02日 著者:
小さな町 (大人の本棚)小さな町 (大人の本棚)
この世間から、はみ出した幸薄い孤独な旅人のような人たちと、地道に暮らしている貧しい町の人々の生活とが、混ざり合って、つかのまの温かい、独特の交流が生まれているように思います。不運続きの作者には、きっと他人には気がつかない小さな温かさを感じ取ることができるのだろう、と思いました。
読了日:01月02日 著者:小山 清,堀江 敏幸

読書メーター