プレアデスの智恵―チェロキーインディアンからのメッセージ

プレアデスの智恵―チェロキーインディアンからのメッセージプレアデスの智恵―チェロキーインディアンからのメッセージ
薗田綾
総合法令
★★★


>世の中に偶然などひとつもないのです。起こるのは、すべて必然的なできごとばかりです。
チェロキーのメディスンマン「歩きながら狩りをする鷹」が語る。
基本は「輪の思想」だといいます。地球に生きるすべてが、ひとつの大きな輪でつながっている・・・調和。
母なる大地のこと。
大地そのものが大きな「生」であり、その生の中で私たちに人間も、動物も植物も等しく生かされているということ。
だから、地球を傷つけることは自分を傷つけることなのだということ。


たくさんの言葉を読めば読むほど、自分の生きている社会も、自分の価値観もなんと不自然なものか、と思えてきます。
ことに印象に残ったのは時間の概念。
誰もが平等であるはずの時間なのに、チェロキーの人々はたっぷりの時間をもっている。
なのに白人はいつも「時間がない」と言う。
白人たちは一年を12に分け、一日を24にわけ、もっと細かく切り刻んでしまった。
鷹は言います。
「私たちは時間に合わせて生きるということがどうも苦手です。朝日と共に目覚め、自然に合わせて生きるほうがよほど人間らしいと思っています。(中略)機械の中の時間に縛られることよりも、大きな自然の流れに合わせて生きるほうが楽だ、ということを知っているからです」
そのように暮らせる人々を心底羨ましく思います。
この感覚は、少しですが、身に覚えがあるからです。
昔、仲間と野山へキャンプに行ったとき、一番最初に時計をはずして片付けてしまいました。
キャンプの間だけは、決して時計を見ないで生活しよう、と決めていました。
最初はどうにも時間が気になり、無い時計が気になり、そわそわしました。
でも二日目ともなると、不思議な開放感に体がのびのびしてきました。
今ではキャンプに行くこともなくなり、時計から離れて暮らすこともなくなりましたが、
あの時間を捨てた爽快な感覚は忘れられません。
時計が人間の心をどんなに蝕んでいることか。
便利に暮らしているつもりで、細切れの時間に支配されてしまっているのかもしれません。
そして、この本にもどり、時間に始まり、土地を分割することも、物を所有することも・・・
なんだかセコセコした貧しい感覚に思えてきました。


著者は、鷹の話を書きとめながら、「欧米社会がつくり出した魔のルール『経済』という仕組み」が諸悪の根源、と思い至ります。
大量生産、大量消費によって成長するお金絶対主義の社会の基盤が、自然のルールから外れているのだと。
そのお金絶対主義は、ついには、母なる大地=地球を、何十回も破壊しつくすほどの原子爆弾を多くの国に所有させるに至っているのです。
わたしたちは幸せになったのでしょうか。


西洋的価値観すべてを捨て去ることはできないでしょう。
でも、どうにかしてチェロキーの価値観と融合させることはできないでしょうか。せめて、心にとめるところからでも・・・
「輪の思想」と言う言葉は、魅力的です。輪は輪廻転生という言葉を思い出させますし、日本の「和」にも通じると思うからです。
チェロキーの考え方は私たち東洋人には決して遠い考え方ではないと思います。