森の絵本 長田弘 荒井良二 絵 講談社 ★★★★ |
――だいじなものは何ですか?表紙も、開いたページも、もえたつような緑、緑、緑。思わず深呼吸したくなる。本の中で森林浴している気持ちになります。
――たいせつなものは何ですか?
長田弘さんの言葉も荒井良二さんの絵も、奥深くて静かに輝いています。
そのまま静かに感じていればいいんだな、と思う。
問いかけられる言葉に即答しなくてもいいんだな、と思う。
目を凝らし、耳を凝らして、緑の奥深くから聞こえてくる声を聞いていたい・・・
静かに問いかけられる言葉。森の声の導きに引かれながら探しに行きます。
遠くじゃない。目をこらして見えるものでもない。さがしてさがしてみつかるものでもない。
もうすでにいっしょに並んで歩いている。
静かにしていればどこかから声が聞こえます・・・
だいじなものも、たいせつなものもひとつではありません。
心を澄ませていたら、どこからも見つかるような気がします。ほら、ここにもあそこにも・・・
歩み進めるごとに、どんどんふえていくのがうれしい。いつのまにかこんなに明るい――
そして、また再び森へ戻っていきます。
二度目の森はもっと深く豊かに見える。言葉も色も、深く豊かになっているような気がします。
そしてまたあの問いかけに戻る。もっと深いところで問いかけてくる。
繰り返し、繰り返し・・・繰り返し訪れるたびに森はさらに深く豊かになっていくかもしれない。
>森が息をしているのは ゆたかな沈黙です。森ってなんだろう。私の心にも森があるかな。
森が生きているのは 豊かな時間です。
日々を重ねつつ、少しずつ少しずつ深みや豊かさが増していければいいな。