毎月新聞

毎月新聞 (中公文庫 さ 48-2)毎月新聞
佐藤雅彦
中公文庫
★★★


ひとつひとつの記事(?)がコンパクトにまとまっているので、ちょこっとあいた隙間時間に読むのにちょうどよかったです。
内容は、日常にふと気がついたことから、社会現象(?)などまで多岐にわたっています。
そして、その記事に対する思いも、ふふん、そうかなー、から、そうだったんだー!までいろいろ。
重たい問題などもありますが、どこかほのぼのとした気持ちで読めてしまうのは、
一回一回のミニミニ新聞の手作り感、のほほんとした3コマ漫画と、ひとりごとっぽい「余禄」のおかげかな?
1998年から2002年までに書かれた文章、約4年間。なんだか懐かしいような気がします。


「じゃないですか禁止令」「ネーミングの功罪」には、覚えがあるし、
いつのまにかわたしもやっちゃっていたなあ、とちょっと反省。


「単機能ばんざい」にばんざい。
「お客さん、これ最後のひとつですよ」には、あるある、と笑ってしまった。目先のお得感にブレーキ〜。


「6月37日」「「す、も×8、のうち」の柔軟な発想に感激。
こういう発想のできる頭に近づきたいものだ。


「つめこみ教育に僕も一票」に、わたしも一票。
いきなり、ほらよっと「自由」をもらってもそれを『自由』とは思えないよね。大切にもできないよね。
精神的に、ほんとうに「自由」になるためのつめこみ。
そして、それが「なぜ勉強するのか」の答えにもなっているし、勉強を続けるための励みにもなっていると思う。


それから、やっぱり、「ミニ余禄」がいい。そこはかとなくいい。
>「携帯電話を紛失中。でも、この開放感は何だろう。」
>「銀座のイエナ洋書店が来月弊店。大ショック。蔵書の内、好きなものの大半はここで見つけた。僕は大切な知識の獲得感を失うことになるのと同時に、実は銀座での秘密の待合わせ場所も失うことになるのだ」


―イエナ洋書店! 一度もいったことがなく、どんなお店なのかも全く知らないのですが・・・
素敵な人たちが懐かしそうにその思い出を語るイエナ洋書店の名前に興味を持ちました。こ
こにまたその名が・・・
こんなふうに惜しまれて消えていったお店がどんな存在だったのか改めて感じ入ったのでした。
一度もいったことのないまぼろしのお店。
もう二度と行くことのできないお店。
憧れがますます募ります。