9月の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:7800ページ

掌の小説 (新潮文庫)掌の小説 (新潮文庫)
さまざまな余韻を残して終わる掌の小説が100以上も。本当は、いつまでも傍らに置きながらもっと大切に読む本なんだろう。(ぱらぱらどんどん読んでしまったけど) ごくごく短い物語なのに、何倍もの長さの物語を読んだようだった。印象に残るのは「火に行く彼女」「日本人アンナ」「海」
読了日:09月30日 著者:川端 康成
消えた少年たち〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)消えた少年たち〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
思いがけない収束に、呆然。涙。ここまでくれば、称えるしかないじゃないか。だけど、本心は、そんな勇気持たないでほしい。
読了日:09月29日 著者:オースン・スコット カード
消えた少年たち〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)消えた少年たち〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
どうも嫌な感じ。次々に浮かび上がる小さな事件はどう考えても不自然で不愉快なのに、「ノー」と声をあげるたびに何か間違ったことをしているようで不安になる。何も起こっていなそうで、何か大きなことが知らないところで進行しているに違いない。これからどうなっていくのかな。
読了日:09月28日 著者:オースン・スコット カード
アンネ・フランクの記憶 (角川文庫)アンネ・フランクの記憶 (角川文庫)
小川洋子さんにとって『アンネの日記』がどんなに大切なものであるか知り、小川さんを純粋に羨ましいと思いました。これほどに自分の人生を左右し、一生寄り添いあっていける本に出会えるって、そうそう誰にでも訪れる幸福ではないのでは。わたしにも大切な本は何冊かあるけれど、小川さんにとっての「アンネ」に匹敵するような本にはまだ出会っていません。
読了日:09月27日 著者:小川 洋子
国境まで10マイル―コーラとアボカドの味がする九つの物語国境まで10マイル―コーラとアボカドの味がする九つの物語
テキサス最南端の町のメキシコ系の人々の暮らしはアメリカとメキシコが混在している。103歳の堂々としたおばあちゃんも、「たいした色男」のおじいちゃんも、ぶっとんだ犬までも!熱い熱い。そして愛情深く、誇り高い。どの短編もみんな味がちがっていておもしろいのだけれど、特に好きなのは『もうひとりの息子』『さあ、飛びなさい』『ぶっとんだロコ』『最後のミサ』
読了日:09月26日 著者:デイヴィッド・ライス
ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)
記憶ってなんだろう。経験であるだけでなく、歴史でもあり、情報でもあり、そこから生まれる感情であり知恵。記憶がない、ということは、そこに伴う感情も知恵も消える、ということ。大多数の幸福・安全を追求して、その都度、暗いもの、危険なものに蓋をしていたら、幸福の幅もどんどん狭くなっていくのではないだろうか。物語の中に、たとえようもなく美しく表れるのは「色」と「音楽」。それを感じることができるということは大きな「驚き」かもしれないと思いました。
読了日:09月24日 著者:ロイス・ローリー,掛川 恭子,Lois Lowry
六人の探偵たち (アーサー・ランサム全集 (9))六人の探偵たち (アーサー・ランサム全集 (9))
(再読)「エーミールと探偵たち」を彷彿とする子ども主体のミステリーが楽しいです。四面楚歌、のっぴきならない事態に陥りながらも、夜中のうなぎ捕り、力合わせてのオオカマス釣りなど、夏の川の喜びがあふれ、楽しめる。ゆっくりとした物語はゆっくりと楽しもう。大丈夫。このシリーズはとびきり爽やかな読後感が常に約束されているんだもの。
読了日:09月22日 著者:アーサー・ランサム
彼岸花はきつねのかんざし (学研の新・創作シリーズ)彼岸花はきつねのかんざし (学研の新・創作シリーズ)
反戦を声だかに叫ぶことも大切でしょうが、大きな声は頭の上をただ通り過ぎていくだけかもしれません。衝撃的な映像は人の神経を麻痺させていくかもしれません。作者はことさらに声を落として、まるで詩のように静かに語る。小さい命の愛しさを、美しさを。あたりまえの日々が、あたりまえの風景が、揺さぶられることなく、いつまでもいつまでもただあたりまえにあればいいのに。
読了日:09月20日 著者:朽木 祥
旅は驢馬をつれて (大人の本棚)旅は驢馬をつれて (大人の本棚)
この旅、たった12日間だったのですね。読書中ずっと、3ヶ月くらいかけて歩いているような気になっていました。濃い12日間だったなあ。苦労は数多くあった道程なのに、ユーモアある文章から、幸せな旅だったんだ、と感じます。「宝島」のスティブンスンだったなんて、読み終わるまで気がつきませんでした。
読了日:09月18日 著者:R.L. スティヴンスン
なみ (講談社の翻訳絵本)なみ (講談社の翻訳絵本)
女の子の表情もいいし、いたずらっぽく誘いかけるガキ大将のような波もいい。いつのまにか左右に広がる大きな一続きの海になっていた。
読了日:09月17日 著者:スージー・リー
紅はこべ (創元推理文庫 507-1)紅はこべ (創元推理文庫 507-1)
長く読み継がれてきたにもかかわらず作者についてはほとんどわかっていない、というお約束どおりの御伽噺。主人公はあくまでかっこよく、狡猾な敵には常に一馬身リード。これもお約束。痛快な冒険あり、ロマンスあり。ああ、サービス満点の大ご馳走。満腹だ〜。
読了日:09月17日 著者:バロネス・オルツィ
高野聖;眉かくしの霊 (岩波文庫)高野聖;眉かくしの霊 (岩波文庫)
武器と言えば美しく装う以外に何もない女が哀れ。幽霊よりずーっと怖い奴が一杯出てきた。これでは鬼でも蛇でもなれるものならなりたい。荒野に咲く青い花の色が印象に残ります。
読了日:09月16日 著者:泉 鏡花
リビイが見た木の妖精 (岩波少年文庫 (1039))リビイが見た木の妖精 (岩波少年文庫 (1039))
(再読) レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」を思い出す。リビイが「みんな心のなかに、たいせつにしまっておくことにし」たことを分けてもらったような気持ちで、いっしょに何も言わず黙っていよう、と思う。
読了日:09月15日 著者:ルーシー・M. ボストン
海のたまご (岩波少年文庫 (2142))海のたまご (岩波少年文庫 (2142))
(再読) 訳者があとがきで言っているように、物語の主人公は「海」。この海は、私たち生き物の故郷、母、としてのイメージ。真夜中の海の冒険の夢のような美しさは圧巻でした。
読了日:09月15日 著者:ルーシー・M. ボストン,猪熊 葉子
空と樹と空と樹と
この本の中にいると、まわりに音があることも空気があることも忘れてしまいそう。できるだけじっとして、心澄んでくるのを大切に感じていたい。日高理恵子さんの絵もよかった。この木々は、どんな人であってもきっと受け入れてくれる。何も飾らず、何も言わず、ただここにいればいいんだ、という気持ちになります。
読了日:09月14日 著者:長田 弘,日高 理恵子
赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))
いきなり殺人事件。なのに、どうしたんだ、このほのぼのとしたのどかな展開は。おっとりとしたユーモアは。そして、愛すべき人々は。牧歌的推理小説にのんびりゆるゆる。この雰囲気、好きです。
読了日:09月14日 著者:A.A.ミルン,大西 尹明,A.A. Milne
夜明けの風夜明けの風
積極的に何かに向かって突き進むわけではない主人公。常に自分の周りの人間の要請に答え続ける主人公。これは今までの彼の先祖たちにはいなかったタイプ。彼の生き方が周りの人間に大きく作用して、物語がぐいぐい動いていくのがおもしろい。闇のさなかに、全く種類の違う新しい朝の気配。
読了日:09月12日 著者:ローズマリー サトクリフ
世界あやとり紀行―精霊の遊戯 (INAX BOOKLET)世界あやとり紀行―精霊の遊戯 (INAX BOOKLET)
あやとりって、日本独自の遊びだと思っていました。ナバホ、イヌイット、太平洋諸国、アフリカ、東南アジア・・・その国や民族を象徴するような名で呼ばれる珍しいデザインに魅了されました。欲を言えば、あやとりの手わざとともに、語られる物語や歌も教えてほしかった。あやとりから解き起こす民族の歴史なども知りたいな。
読了日:09月12日 著者:シシドユキオ,野口廣,マーク・A・シャーマン
ひみつの海 (アーサー・ランサム全集 (8))ひみつの海 (アーサー・ランサム全集 (8))
(再読) おもしろかったんですけどね。秘密の宝(?)のありかでも、こっそり暗号で地図の中に忍ばせておいたらよかったのに。そして絶対親にばらさないんだよ。そうしたら、もっとおもしろかったのに。前作で親の懐を飛び出したはずの子どもたちがちゃっかり舞い戻ってしまったようでちょっと不満。
読了日:09月11日 著者:アーサー・ランサム
サイレントボーイサイレントボーイ
私にわかったのは、ただただ美しいことだけだった。それはほんとうに美しく切ない願いだった。それを一言で正しいことではないと言ってしまっていいだろうか。真実って何なのだろう。
読了日:09月10日 著者:ロイス・ローリー,中村 浩美,Lois Lowry
なつかしく謎めいて (Modern & classic)なつかしく謎めいて (Modern & classic)
異世界(別次元)の住人たちの生態、文化を次々連作短編で読んでいく。ナンセンス、と思いつつ、世界のバランスが一つ狂えばこんなことも起こりかねない、とひやりとしたり、どこの地でも、自分たちの運命に忠実にひたすらに生きていく人々の描写に妙に切なくなってしまう。
読了日:09月08日 著者:アーシュラ・K. ル=グウィン
猫の帰還猫の帰還
かけがえのないものが破壊され失われていく、人が死ぬ、人が人でなくなっていく。恐怖。麻痺した感情も恐怖。そして、どん底から、わずかなきっかけを得て、生きようと戦う名もなき人々に感動。人間ってたくましい。それにしても、人々の猫好きぶりったら。思わず微笑んでしまう。
読了日:09月07日 著者:ロバート ウェストール
オックスフォード物語―マリアの夏の日オックスフォード物語―マリアの夏の日
主人公マリアが追いかける歴史ミステリがおもしろい。何世紀も前に生きた人がまるで親しい友のように思えてくる。それにしても、女子が教育を受けることに冷ややかな時代。大学図書館の本一冊閲覧するだけでも冒険だったのですね。続巻以降でのマリアの気持ちの掘り下げ、成長、周りの人々との関係の深まりなど、期待したい。続きが読みたい。
読了日:09月06日 著者:ジリアン・エイブリー
エリック・ホッファー自伝―構想された真実エリック・ホッファー自伝―構想された真実
「沖仲士の哲学者」の天衣無縫な人生、その旅の途上で出会った人々の物語は、小説読むよりおもしろい! 哲学者エリックの言葉には難しい言葉はひとつもない。力強くてやさしくい。ストイックだけど朗らか。
読了日:09月05日 著者:エリック ホッファー
「ん」まであるく「ん」まであるく
興味のない話題についてはちっとも乗れないし、興味のある話題については物足りない、もっと語ってほしかった。これはきっともっとゆっくり読むべき本なのでしょうけど・・・。少し散漫な印象も持ちましたが、ぼんやり読んでいるとどきっとする言葉にであったりするので油断できない本でもありました。
読了日:09月04日 著者:谷川 俊太郎
雷鳥の森 (大人の本棚)雷鳥の森 (大人の本棚)
森に分け入って雷鳥を撃つ。消えること無い戦争の記憶。作者の体験も、友人たちの体験も山の谷間に吸い込まれていくよう。人も動物たちも植物も、みな移り変わっていくのだろうに、何も変わらないように見える自然。何者にもたじろがず、抵抗もせず、泣きも怒りもせず、笑いもせず、ただそこにある。そのことはどこまでも強く信頼できるのでした。
読了日:09月02日 著者:マーリオ・リゴーニ ステルン,志村 啓子
最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)
徐々にはっきり見えてくる登場人物たちは、見てくれと違い、とてもチャーミングな人たちだった。・・・到達するたびに、ここよりもっと先にある目的地が見えてくるようで、次々に現れる新しい目的地を楽しみに歩いていくのも悪くない。
読了日:09月01日 著者:ピーター キャメロン

読書メーター

今月、心に残るのは、ロイス・ローリー。
「ドリーム・ギバー」「サイレントボーイ」「ザ・ギバー」と三作読み、どれもよかった。ことに「サイレント・ボーイ」が好きです。