6月の読書メーター
読んだ本の数:31冊
読んだページ数:6839ページ

Dandelion Wine (Grand Master Editions)Dandelion Wine (Grand Master Editions)
たんぽぽのお酒は、夏の輝きを、冬にちびりちびりと味わうもの。でも、これがあることを思い出すのはやっぱり夏。真新しいテニスシューズでぽーんと梅雨空を蹴り上げて夏を呼ぶ。
読了日:06月30日 著者:Ray Bradbury
湖の麗人 (岩波文庫)湖の麗人 (岩波文庫)
騎士の前に小舟を漕いで現れたのは麗しい乙女。宮中の貴族達の思惑や、騎士の正々堂々の一騎打。思いがけない出会いもあれば、驚きの展開もある。そして、物語に相応しい荘重な文章。戦いのあたりから、これは悲劇の物語?と思ったのですが・・・まさかの展開で、そんなの、もうちっとも予想がつきませんでした(笑) 洒落たことをなさいます。王さま・・・初めてのウォルター・スコット。大満足の読書。
読了日:06月29日 著者:スコット
夜、空をとぶ (詩人が贈る絵本)夜、空をとぶ (詩人が贈る絵本)
ジャレル&センダックとのことで期待して読みましたが、わたしにはよく意味がわかりませんでした。満たされなくてとぶのでしょうか。唐突に「母親」が入ってきて、なんだかはぐらかされたような。幻想的で美しい世界なんですけどねえ・・・消化不良です〜。
読了日:06月28日 著者:ランダル ジャレル,モーリス センダック
われらが歌う時 下われらが歌う時 下
重層的に繰り返される『今』。ぐるりとまわってそこに帰ってきたわけではなかった。なんという高みまで引き上げられたことか、まるで螺旋を描きつつ上の次元に上ったような気がする。ここで初めて聞こえてくる歌声に素直に体を預けられるような気がします。
読了日:06月27日 著者:リチャード・パワーズ
われらが歌う時 上われらが歌う時 上
苦いとか痛いとか憤りまで通り越して、真暗で深い差別の描写に、なんと言葉を添えていいのか、ただただ重くて。その中を、親たちの経歴、子どもたちの経歴が交互にゆっくりと語られていく。これから一体どこに向かっていくのだろう。この家族のあいだに湧き上がり、流れ続ける音楽が、ひたすらに力強く美しい。
読了日:06月26日 著者:リチャード・パワーズ
天国を出ていく − 本の小べや〈2〉天国を出ていく − 本の小べや〈2〉
(再読) こっちの巻では「ねんねコはおどる」「ボタンインコ」「サン・フェアリー・アン」が特に好き。どのお話の主人公達も(王さまだろうと木こりだろうと!)それぞれに、濁りない目で、自分にとって本当に価値あるものをちゃんと知っている、そんな気がして、読んでいるだけで、心から幸せになるのです。
読了日:06月25日 著者:エレノア・ファージョン
ムギと王さま―本の小べや〈1〉 (岩波少年文庫)ムギと王さま―本の小べや〈1〉 (岩波少年文庫)
(再読) 一話読むたびに広がる幸福感。「月がほしいと王女さまが泣いた」「レモン色の子犬」のやんちゃでかわいいお姫様、「小さな仕立て屋さん」のまばゆいドレスに包まれた謙虚な働き者、「ヤング・ケート」「七ばんめの王女」のはちきれんばかりの広い野への憧れ、絢爛豪華でささやかで、息を呑むほど美しいかと思えば、風刺を利かせてクスッと笑わせてくれる。そして何よりも何よりも素晴らしい前書きのあの本の小部屋。金色に踊る埃のなかで本に埋もれていた少女の姿に憧れます。
読了日:06月25日 著者:エリナー ファージョン
友達・棒になった男 (新潮文庫)友達・棒になった男 (新潮文庫)
シュールでした。第一景の「鞄」、この鞄の不安が夫から妻へ、妻から友人へ、そし友人から読者へ・・・かなり嫌ぁな感じ。手渡してさえしまえば、けろっとしてラーメンの出前を頼めるような、まるで不幸の手紙をもらったみたいな居心地の悪さ。第三景「棒になった男」では、棒の森、という言葉にぞお〜。子どもの足音を形容する「はずむゴムボール」という言葉に比べると、棒になった人間が悲しい。フーテンが死んだらゴムホースなのですか。ああ。不安てんこもりの手ごわい本でした。難しい〜。
読了日:06月24日 著者:安部 公房
アリスの不思議なお店アリスの不思議なお店
隅々までこだわった美しい本。これは、おとぎの国の不思議な商品カタログ。ページをめくるたびにため息です。これは父から娘への贈り物だったとのお話に、ますますため息。なんて幸せなお誕生日。
読了日:06月22日 著者:フレデリック クレマン
ぼくだけの山の家ぼくだけの山の家
「やってみるべきだ」と笑って送り出すお父さんもよい。そういう方法があるのだ、そして、方法が在る、と言うことは確実にできるのだ、と思わせてくれる本は素敵です。失敗も含めて、全部享受させてもらい、さらに、自分だったら、そこに何を付け加えようか、と夢みるのも楽しかった。
読了日:06月22日 著者:ジーン・クレイグヘッド ジョージ
ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫 う 31-1)ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫 う 31-1)
いつのまにか、この本の著者その人に惹かれていきました。幻のように消え去った書店に心奪われ、古い新聞や雑誌の広告ひとつひとつに「ボン書店」の名を探し、当時を知る人を訪ね・・・夢を追いかける心の若さを思います。
読了日:06月21日 著者:内堀 弘
水深五尋水深五尋
胸のすくような冒険物語はハッピーエンドといいたいところだが、爽やかさからはほど遠い苦々しさが残る。特に階級意識の理不尽さとそれに対して手も足もでない悔しさや痛み。この気づきが、若者の、子ども時代との確かな決別なのだ、と思う。だけど、同時に彼は、永遠に変らない確かな存在を確認している。その確かさが、彼のこれからの道しるべにきっとなる。
読了日:06月19日 著者:ロバート・ウェストール
ジョニーのかたやきパン (大型絵本)ジョニーのかたやきパン (大型絵本)
アッタマ悪そうなジョニーといかにもお人よしの老夫婦の顔に思わずにっこり。しているうちに走り出した走り出した、リズムにのって、スピードあげて・・・走っていく牛のぴんとした尻尾にとまった雌鳥たちが好き。あっというまに大団円に到着〜♪ 楽しい楽しい。(マックロスキーさんの奥様がルース・ソーヤーさんの娘さんだったなんてびっくり、初めて知りました〜。)
読了日:06月18日 著者:ルース ソーヤー
鉱石倶楽部 (文春文庫)鉱石倶楽部 (文春文庫)
こんな鉱物が本当に存在しているということも、その鉱物の現れかたも神秘。でも、狐顔の先生の鉱物図鑑にはこんなふうに書かれているはずのひとつひとつの鉱物についての説明があまりにすてき。そして、その鉱物それぞれに付された二人の少年達の物語(詩?)が結晶のように輝いてみえます。魔法みたい。
読了日:06月17日 著者:長野 まゆみ
f植物園の巣穴f植物園の巣穴
穴、といえば、不思議の国のアリスを思い出す。これはそのようにして下っていく物語でした。歯科医が、抜けた乳歯のあとに、新しい歯の萌芽が見える、と言った言葉が印象的でした。
読了日:06月16日 著者:梨木 香歩
海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)
通して読んだのは初めてでした。絢爛豪華な日本語。言葉の美しさ、リズム、響き。ブラウニングとサマンはみんな好きでした。一番すきなのは「時鐘」。しかし、悲しいことに意味がよくわからない詩もちらほら、いえ、たくさんあって、とても読みこなせていません。
読了日:06月16日 著者:
ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)
子どもの不思議な勘のよさ、真実を見通す心の目に驚かされた。抱えこんだあまりに重く残酷な秘密であったけれど、それを語り、書き、何度も書き直し、白日の下に晒すことでかなう癒し、心の解放。読後には一種の静けさと清清しさがある。
読了日:06月15日 著者:フィリップ グランベール
ワーキング・ガール―リディの旅立ちワーキング・ガール―リディの旅立ち
産業革命の波が押し寄せるアメリカ東部。家族を助けるために紡績工場で働き始めた13歳の少女の自立の物語を軸にして、時代が描かれる。クマの話が印象的。若干13歳で「ただのクマ」を「ただのクマ」と見ることのできるリディに感嘆せずにいられません。「ただのクマ」と認めることで、すでにクマを越えているのですね。
読了日:06月13日 著者:キャサリン パターソン
切手で旅するヨーロッパ切手で旅するヨーロッパ
遊び心のある誌面やベルリンの裏町の小さな切手店でのエピソードなどもとっても愛しい本でした。わたしも切手を集めてみたくなりました。素手で触るのも恐れ多いようなお値打ち切手ではなくて、持っているというだけでうれしくなってしまう可憐な切手を。そして、惜しげなく、気軽にぺたっと貼って投函できるような気さくさのある切手を。
読了日:06月13日 著者:山田 庸子
街の灯 (文春文庫)街の灯 (文春文庫)
三作品中最後の「街の灯」が一番好き。道子姫に圧倒されました。不自由な(庶民には思いもよらぬ不幸とも思う)ご身分を逆手にとって時代を手玉にとりながら、堂々と生きていく、こちらも別宮ベッキーさんとは別口の「ベッキーさん」ではないか、と思った。舌を巻きながら、不快ではない。一種の清清しささえ感じた。
読了日:06月12日 著者:北村 薫
愛人(ラマン) (河出文庫)愛人(ラマン) (河出文庫)
「母親を殺したい」という激しい憎悪を裏返せば「愛されたい」という切ない願いが溢れている。彼女にとって愛人であるということは、肉親を殺すことであり、肉親の愛をむさぼることでもあったろう。18歳で悟りきってしまうような感受性の少女が、このような環境で、生き延びただけでもたいしたものだと思うのですが、彼女は、愛人と別れた後、愛人に対して「その愛を見出したのだった」と気づく。この気づきによって彼女が救われているように感じました。
読了日:06月10日 著者:マルグリット デュラス
ザ・ロードザ・ロード
それでも生きたいのか、また、生きなければならないのか。生きるのだ、それでも。でも、生きることの意味ってなんなのだろう。この世界を覆う地獄の光景を、壁紙か何かのようにびりびりと引き裂きたくなる。少年の善良さが、この闇の中で奇跡のように明るく美しい。この子をこのように育てたのは父。「火を運ぶもの」、地獄の中の小さな希望。
読了日:06月09日 著者:コーマック・マッカーシー
きんぎょきんぎょ
金魚鉢の金魚を連れて、しかも図書館へ行くのです。そこから引き込まれずにはいられません。妖しいくらいきれいなどこもかしこも赤い本。
読了日:06月08日 著者:ユ テウン
屋上のとんがり帽子 (たくさんのふしぎ傑作集)屋上のとんがり帽子 (たくさんのふしぎ傑作集)
人の住んでいるところに、人が作ったものがある。そこには必ず物語がある。見慣れてしまってはいけない。「あれはなんだろう」のアンテナの感度がとてもすてきです。
読了日:06月08日 著者:折原 恵
風さん風さん
見えている友だちと遊ぶのも好きだったけど、見えない友だちと過ごすのも好きな小さかったあの子のことを思い出しました。
読了日:06月08日 著者:ジビュレ・フォン オルファース
リディアのガーデニングリディアのガーデニング
ほんとに絵が語っているのですね。手紙だけでつなぐスタイル、よかったです。ときどき来る文のないページには、言葉にならない思いが溢れていて。大好きな絵本がまた増えました。
読了日:06月08日 著者:サラ スチュワート
世界はうつくしいと世界はうつくしいと
この詩集を前にして、あそこが好きの、ここがいいの、と分解する権利がわたしにあるのだろうか。「世界はうつくしいと」詩人は言っている。ひとことひとこと味わいながら、自分の身の回り、そして自分の来た道行く道の美しさに思いをめぐらす。
読了日:06月07日 著者:長田 弘
スイート川の日々 (Best choice)スイート川の日々 (Best choice)
谷間を駆け巡り遊び遊び、大きくなるに連れて複雑になっていく友人関係もまた、少し形を変えたら私自身にも覚えのあること。懐かしくて、ほろ苦くて、胸がいっぱいになります。信頼できる大人のゆるぎない見守りの中すくすくと成長していく子がいる一方、傷つき、ぼろぼろになっていく子がいることが痛ましかった。
読了日:06月06日 著者:ルース ホワイト
新潮クレスト・ブックス彼方なる歌に耳を澄ませよ (新潮クレスト・ブックス)新潮クレスト・ブックス彼方なる歌に耳を澄ませよ (新潮クレスト・ブックス)
さりげなくて、静かで、訥々と、最後まで大きなうねりもなく歌い上げる歌。幸福になるとか不幸だとかは問題じゃない。生きることに意味がある。そのように黙々と生きる、その脳裏にはいつも父祖の言葉が、歌がある。それだけ。それだけ、と言いながら、その「それだけ」を自分の頬を伝う涙にも気がつかずに読んでいました。
読了日:06月05日 著者:アリステア・マクラウド
親愛なるブリードさま―強制収容された日系二世とアメリカ人図書館司書の物語親愛なるブリードさま―強制収容された日系二世とアメリカ人図書館司書の物語
「こうしたこと」はいつの時代でも、どんな集団でも、起こり得るのだと思います。だけど、クララ・ブリードのしたことは、誰でもできることではありませんでした。今現在あちこちで小さな「こうしたこと」が起きているような気がして仕方がありません。クララ・ブリードがどのように生きたか、忘れないでいることで、少しだけよい生き方ができるような気がする
読了日:06月03日 著者:ジョアンヌ・オッペンハイム
新版 水曜日のクルト (偕成社文庫)水曜日のクルト 新版改訂版 (偕成社文庫 2118)透明な日だまりの中のゆったりと流れる時間を堪能したような気がしました。どの物語も底抜けに明るい話ではなく、子どもの本の楽しさ、喜び、健康な知恵(?)のようなものがぎゅっと詰まっていて、読んでいてほっとするのです。スピード感のある展開や、これでもかと詰め込まれたあれやこれやに疲れたら、この本があることを思い出そう。
読了日:06月01日 著者:大井 三重子

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