屋上のとんがり帽子 (たくさんのふしぎ傑作集) 折原恵 福音館 ★★★★ |
給水塔だったのかー。
ニューヨーク、林立する高層ビルの屋上にちょんちょんと乗っている小さなとんがり帽子たちにはこんな物語がありました。
案外見ているようで気がついていないその風景。気がついたとしてもここまで深く知っている人がどのくらいいるか。調べてみようという気持ちになる人がどのくらいいるか。
機能性もその歴史も。そこに関わった人の物語も。
「それが何?」だった風景が、ページをめくるごとに愛しい風景に変っていきます。お気に入りとんがり帽子写真集が出てくる頃には、この給水タンクたちのチャーミングさに、すっかり魅了されていたのでした。
人の住んでいるところに、人が作ったものがある。そこには必ず物語がある。
見慣れてしまってはいけない。「あれはなんだろう」のアンテナの感度がとてもすてきです。
P32,33の「高層ビル建築ラッシュの時代。ロックフェラー・センター建築現場のランチタイム。(1930年ごろ)」との言葉が添えられたあの写真、すごい。目がくらみそう。