リディアのガーデニング

リディアのガーデニングリディアのガーデニング
サラ・スチュワート
デイビッド・スモール 絵
福本友美子 訳
アスラン書房
★★★★


実はわたし、「リディアのガーデニング」というタイトルを聞いたとき、 クリスティーナ・ビョルク&レーナ・アンデションの「リネア」シリーズの一冊と間違えたのです。もちろんまったくちがう絵本でした。

1935年のアメリカ。大恐慌のころです。
田舎のリディアの家も暮らしは苦しいようです。おとうさんは職を失い、リディアは町でパン屋を営むジム伯父さんの家に預けられます。
ガーデニング好きのリディアが、伯父さんをはじめ周りの人々を変えていきます。

リディアの手紙で綴られる絵本です。彼女は大好きなおばあちゃん(たぶんガーデニングの師匠)に自分の暮らしのことを綴ります。
言葉少ない手紙です。
絵が、色が、雄弁に物語ります。
笑わない、という仏頂面のジム伯父さんですが、愛情がないわけではないのです。そのしぐさから、リディアは伯父さんの気持ちをよくわかっています。
そして伯父さんを笑わせる計画を立てます。伯父さんは笑うかしら。

これは都会の「秘密の花園」の物語です。
寒々とした暗い色が多い画面が、リディアの花々に満たされていくに従って、華やかに、明るくなってきます。それは画面の色だけではない、リディアを囲む人々の顔もなんだか華やかになっていくのです。表情が豊かになっていくようです。
ページごとに添えられた小さな手紙文。ときには文字の無いページ。ここにどんな文字がいるだろうか。ただ絵を眺めつつ、あふれる思いを噛み締めます。感極まって・・・というならば、もちろん最後のページ。

リディアの手紙の中の言葉「ガーデニングに終わりなし」うれしく心に書き留めました。
我が家の庭は、家族それぞれが思い思いにいろいろ植えているのでもうごちゃごちゃ。良く言えばにぎやかです^^
いったい何スタイルというのか(笑)
この脈絡のなさが我が家の庭らしくて・・・ほっとします(ということにしよう)
この絵本を読んだら、庭仕事をしたくなります。ガーデニングの季節です。

ところで、どうでもいいおまけ。
パパが教えてくれたジムおじさんの見分け方「ママの顔に、でっかい鼻と口ひげをつければいいのさ!」を参考にして、それでは、ジム伯父さんの鼻を小さくして、口ひげをとったら、ママになるのでしょうか。ふーむ。