悪ガキをほめよう!

悪ガキをほめよう! (文研じゅべにーる)悪ガキをほめよう!
バーバラ・ロビンソン
岡本浜江 訳
★★★


「なるほどクリスマス降誕劇」のハードマンの6人兄弟に久々の再会です。(「なるほどクリスマス降誕劇」の感想はこちらに書いています)
6人そろいもそろってタバコは吸うわ、嘘はつくわ、盗みはするわ、不潔だわ、学校はズルヤスミするし、たとえ出てきたとしても誰かがぶん殴られるか噛み付かれるか盗まれるかだし、ありとあらゆる悪徳の代名詞の札付きの悪ガキ。
そのハードマンたちの悪さをこれでもかってくらいに章ごとに列挙してくれるが、いやはや、さすがの悪ガキぶり。
同じクラスにこんなのがいたら恐怖だけれど、これほどの悪事をさらりとやってのけるなんて、なんだかすかーっと気もちがよいのです。
どの事件も、奇抜といえば奇抜ですが、どちらかといえば牧歌的で、まわりの人間達が振り回されるのがおもしろい。
ハードマンの対極にいるいい子ぶりっ子ちゃんのアリス(と、そのママ)の自己チューぶりがあまりに露骨でいやらしい分、どうもハードマンに肩入れしたくなってしまうのです。
舞台が馬の目を抜くような大都会ではないのもよいです。たぶん田舎の小さな町なのではないか、と思います。だからどことなくのんびりとした牧歌的なムードがあるのでしょうねえ。

一番おもしろかったのは、クラスメートのルーラの弟である赤ちゃんをかっさらっていって、つるつるの頭に油絵の具で落書きをして、「刺青ベイビー」として見世物にしてしまうところ。おまけにひとり25セントの見物料をせしめて、大もうけした、というくだり。
とんでもない話だけれど、文章がひょうひょうとしていて、お腹を抱えて笑い出したいような楽しい一章になっているのです。
PTA主催のパーティのお菓子を見事にそっくり全部盗み出したり、6人そろって市の火災防止デーでは、奇奇怪怪の防災手腕をなぜか評価されて新聞に写真入りで載ってしまったり・・・
一事が万事のハードマン兄弟です。

ハードマンの2番目の子イモジェンのクラスメートであるべスの目で描かれた物語ですが、クラスメートの長所を見つけて賛美しよう、というクラスの一年間の課題に答えて、べスはイモジェンのよいところを探そうとします。
さてさて、イモジェンのよいところはみつかるかな。

テーマはまあ、置いといて、このいたずらを越えた悪事の天才たちに賞賛したい気持ちになります。百戦錬磨の悪ガキどもは、生命力に満ちて、へこたれないし、転んでもただでは起きないし、ひたすらたくましいです。
ハードマン兄弟、かなり好きです♪