一年中わくわくしてた ロアルド・ダール 柳瀬尚紀 訳 評論社 ★★★ |
一月、お湯に浮かべたブリキの舟のこと、宝物にしている数々のこと(手術したときに切り取った腰骨まで!)、それから、最初のスノードロップが花ひらく。
二月、モグラとモグラ塚のこと、蚊のめすが目覚めて卵を産むこと・・・
陰気な冬とはいえ、楽しむことはいっぱいで、それが春になり、夏になるにしたがって冒険の思い出が増えてくる。
ロアルド・ダールが晩年に綴った12ヶ月のエッセイです。
月ごとに分けて書かれた文章に添えられたクェンティン・ブレイクの豊富な挿絵が一層味わい深いものにしています。
見渡せば、自分のまわりにはなんとたくさんのわくわくがつまっていることでしょう。
観察すべきものはあちらにもこちらにも満ち溢れています。
冒険すべき事柄はそこにもここにもたくさん。
なんでもかんでも拾い集め宝物にした子ども時代は、きっと小さな石ころひとつの中にも宝物をみつける目がそなわっていたのでしょう。それを大人になると同時に手放すなんてあまりにもったいないことではありませんか、
誰にも言わない内緒の散歩もたくさん胸にしまっておきたいものです。
柔らかい目で見渡せば、私たちをめぐるこの世はほんとにわくわくがいっぱいです。
邦訳のタイトルがすてきです。「MY YEAR]が「一年中わくわくしてた」
わくわく、という言葉に惹かれてこの本を手に取りました。
晩年にこんな日記(エッセイ)を書けるなんて、ロアルド・ダール、ほんとに豊かに生きた人。
私もわくわくしながら暮らしたい。きょうはどんな冒険をしようか、どんな宝を掘り起こそうかとほくそ笑みながら考えていたい。