ぼくとくらしたフクロウたち

ぼくとくらしたフクロウたち
ファーレイ・モワット
稲垣明子 訳
評論社
★★★★★


この本はもともとわたしの宝物でした。
その後、長女と一緒に楽しみ、やがて次女の宝物となり、今は次女の本箱に入っています。
先日「ジョー アンド ミー―釣りと友情の日々」を読みながら、この本のことを思い出しました。
さらに、そのあと読んだ「12月の静けさ」の中にちらっとモワットの名が出てきたので、久しぶりに、本を出してきました。
たちまちビリー少年と二羽のミミズク(クフロとメソ)の世界に引き込まれました。


輝くような大自然
その環境を当たり前のように享受しつつ、様々な動物達と生活し、
良い仲間達とともに草原でジリスや野ねずみ、へびを捕まえたり、
川岸の洞穴でキャンプ中、コヨーテのなき声を聞きながら、太古に思いを馳せて心ざわめかせたり・・・
フクロウを家族のように自由に家の内と外を出入りさせ、自転車にとまらせて街を走り回ったり、・・・
そんなふうに過ごした作者ファーレイ・モワットの少年時代の物語。
私たちには夢のような、生命に満ち満ちた、なんとうらやましい生活。


たくさんのペット(主に草原で捕まえてくる)を飼っているビリー少年(作者)ですが、新たに彼は二匹のミミズクを手に入れます。
ミミズクたちとの出会いから始まる物語ですが、このミミズクたち「クフロ」「メソ」は、性格もいってかえるほどにちがうのがおかしい。
のどかな田舎で、自由にミミズクを遊ばせながら、ミミズクがらみで起こるお腹を抱えて笑いたいようなおかしな事件の数々が楽しい。
何回読んでも。
楽しいだけでなく、彼らの温かい羽毛の手触りや、ずっしりとした重み、ぱちぱち鳴らすくちばしの様子まで目に見えるよう。
そして、作者の、ミミズクたちが可愛くて可愛くてしょうがない気持ちを、ひしひしと感じる。
(ミルンの「くまのプーさん」のなかでクリストファー・ロビンがさもかわいくてしょうがない、という調子でプーのことを「ばっかなくまのやつ」とつぶやくところ、など思い出しました)


作者が少年時代を過ごした田舎町サスカトーンがどんなにすばらしい場所であったか、
後年、父親の仕事の都合でトロントに引っ越さなければならなくなったことを嘆いて、このように書いています。

トロントには、もう沼もないしジリスもいないし、しげみもないだろう。一番つまらないのは、草原もないということだった。
訳者あとがきで書かれていましたが、
作者から訳者が受け取った手紙には、フクロウは単なるペットではなく家族の一員であることが強調して書かれていたそうです。
その作者の気持ちに沿って日本でのタイトルは「ぼくとくらしたフクロウたち」にしたそうです。(原題“OWLS IN THE FAMILY”)