ペニーさんと動物家族

ペニーさんと動物家族ペニーさんと動物家族
マリー・ホール・エッツ
松岡享子 訳
徳間書店
★★★★


「ペニーさん」の続編です。
ペニーさん家族は、農業祭に参加することになりました。ペニーさんは「入賞したら賞金で観覧車に乗ろう」といいます。動物達はすでに入賞したつもりで大喜びです。
さて会場に着いた動物達、ペニーさんとの約束をやぶって夜中にこっそり抜け出して他の出展品を偵察に・・・そこでとんでもない事件を起こしてしまい、農業祭に参加どころか会場を追い出されることになってしまいました・・・

最後はほっこり、にっこり温かなのですが・・・
この動物達を見ているとほんとに子どもだなあ、と思ってしまいます。
約束なんて守るものですか。
いいえ、ひねくれて悪いことをしようとか、大騒ぎを起こしてやろう、とか、そんなことを思っているわけじゃないのです。
自分なら、親達が思っているよりもずっと力があるし頭もあるんだ、もっとうまくやれるさ、もっといいことをしてやれるさ、とそんな気持ちなのでしょう。
ああ、わが子たちが小さかったとき・・・「あんた中心に地球はまわっていないよ!」と何度わめいたことか。ちょっと思い出してしまいました。
ペニーさんはわめかないし、振り返って「だから言ったじゃないか」とも言いません。
おおらかで大きな見守りが、動物達にのびのびと冒険をさせます。ときに失敗もしますが、大きな喜びももたらすのです。
さらに、動物達、ペニーさんが育てた作物や自分たちが絶対入賞すると信じている・・・つまり親ともいえるペニーさんに対する全幅の信頼と愛情を感じます。
ペニーさんはペニーさんで、自分の出展品が評価されなかったことやめちゃくちゃになってしまったことをがっかりするよりも、家族みんなが幸せでいるかどうかのほうが大切なんです。
・・・いい家族だなあ。

ペニーさんと動物達のきずな、なんてすてきなのでしょう。
観覧車に乗った動物達のうれしそうな顔がたまりませんでした。