お薬グラフィティ―読んで良く効く心のお薬博物館

お薬グラフィティ―読んで良く効く心のお薬博物館お薬グラフィティ―読んで良く効く心のお薬博物館
高橋善丸・所蔵・編
光琳社出版
★★★★


江戸時代末頃〜明治時代末頃、明治時代末頃〜大正時代末頃、昭和時代初め〜昭和戦前、昭和戦後〜昭和時代中頃、と、時代ごとにまとめられているのは、集められた薬瓶、紙袋、薬箱、ラベル、紙看板やらおまけの絵図、うちわや紙風船、薬の説明書など。
よくもまあ、これだけ集めたものよと、驚きのコレクションは、なんともレトロというか妖しげというか・・・
それでも、時代ごとに眺めれば、薬のパッケージのデザインや、好んで使われる絵図や、薬の名前など、ちゃんとその時代らしさを映しているのだなあ、と感心。

限りなく強そうな名前がついた江戸末期〜明治期の薬。オマケの絵図は芝居の役者や、古今の英雄たちの肖像の木版画
大正に入ると、薬の名前はぐっとくだけた感じになるし(たとえば、「ねてもすぐおきる天下一品 達磨散」とか)、パッケージや絵図に使われたのはおもに美人画
戦前には軍人の絵が増えます。
戦後の薬・・・すでに今はたぶんないだろうけど、私でさえ見たことのある薬のパッケージもちらほら出てきました。

しかし、なんとおもしろいんでしょ。薬、薬、薬。薬がこんなに楽しいものだったなんて。
そして、テレビも普及していない昔、各家庭をまわる薬売りは、薬だけではなく、世のなかの動きや話題もまた、地方の家庭に運んでいたのでした。
ちょっと怪しげで、でも眺めるだけでもとっても楽しいお薬グラフィティ。「読んで良く効く心のお薬博物館」という副題も魅力的♪
紙風船のおまけつきです。