つぐみ通りのトーベ

Photoつぐみ通りのトーベ
ビルイット・ロン
佐伯愛子 訳
徳間書店
★★★





トーベは小学2年生。
作文をかくのも算数もとくい。走るのだってクラスの誰よりも速いし、木登りもとくい。
こんなに得意がいっぱいあるんだもの、もっと自信を持って、毎日を過ごせるだろうに、トーベは、なんとなく元気がない・・・
親友のエンマは男の子にも女の子にも人気があります。かわいらしくて、バレエが得意で、とてもきれいな声で歌を歌います。
そのエンマが、最近クラスの他の子と仲良くしているのが、トーベとしては少し気がかりなのです。

  >ところでこの子、さっき木からおりたときよりも、背が十センチくらいのびたんじゃないか?
消防士のラッセさんのことば。
急に背が10センチのびる――子供が、ふとしたきっかけで、ぐんと成長すること、あるいは、自分の持っているものに気がつくこと、自分をとり巻く世界が今までとはまるでちがったふうに見えてくること。
・・・そういうとき、背が急にのびたように見える(自分にも人にも)、これは、とってもすてきな表現、と思いました。

これはスウェーデンのお話ですが、トーベの悩みや考え方は、わたしたちにも身近なこと。
そして、それを乗り越えるための冒険がとってもすてきなことでよかった。
そして、しり込みする少女を励まして支えて、彼女の冒険を最後まで完遂(?)させてくれた素敵な余裕のある大人(消防士のミッケさん)がいてくれたことがなんともうれしい。
少女をめぐる世界は大きく開かれました。
これから先、もっともっと広がっていることに気が付いていくのだろうな。
新緑のように瑞々しい物語。なんだかうれしい♪