ボッケ

ボッケボッケ
ハリエット・ヴァン・レーク
野坂悦子訳
朔北社
★★★


佐野洋子「わたし いる」 → ヴァン・レーク「レナレナ」、そして、レナレナからヴァン・レークつながりで紹介してもらった絵本がこれ、「ボッケ」です。
とってもへんてこな絵本です。ちょっと不気味で奇妙におかしくて、なんとなくにこっと笑いたくなる小さなお話が13。

むかしむかし。どこにもいない女の子なんですって。名前はボッケとリー。うちがわがからっぽのやなぎの木に住んでいるこの二人の日々。
  >わたし、もうすぐでていくかんじ。
   ボッケっていう、なまえになるの。
   タッタラー
って始まる本。
ボッケとリーってなんだろう。ただの女の子じゃないね、妖精みたいな。
ううん、やっぱりただの女の子かもしれない。
ただの、普通の女の子が一人遊びするときには頭の中がこんなになっているんだ。これ、普通にふつうのことだよね。
急にずんずん体が縮んでしまってワラジムシの上にすわっていても、
森でみつけたパンケーキを食べようと思ったけど、よくよく考えたらどうもパンケーキにそっくりの毒キノコではないか、
と疑ってみたり、
ご招待された青い家の青いベッドの下に猫の毛皮がはみ出しているのをみつけて怖くなって逃げ出したり・・・・

こういうことは、わたしだって、(そっくりではないけど、似たようなことは)もしかしたら、みんな子供の時代にとっくに体験済み(笑)・・・じゃありませんか。
やなぎのおうちには住んでいなかったけど、大人の目に映っているようなおうちに住んでいるわけではありませんでしたとも。
大人にとっては当たり前のおうちのまわりが子供にはうっそうとした森の中であったり、近所の人が気味悪い小人かもしれない、と思ったり。
それを今思い出して追体験するにはちょっと気だるいような、心地よいような、・・・大人になってしまいました。