The Key To The Indian

The Key to the Indian / Lynne Reid Banks 


リトルベアーシリーズ完結編です。
邦訳本1〜3巻「リトルベアー」、「リトルベアーとふしぎなカギ」、「リトルベアーのふしぎな旅」がおもしろかったので、未邦訳の完結編があると聞いて、いつか是非読みたい、と思っていました。
アメリカ版では主人公とその妻の名はLittle BearとBright Starになっていますが、この本イギリス版ではLittle BullとTwin Starsです。

さて、読み始めて・・・あらら、と困惑。なんと話が3巻までとかみ合わないのです。Omriのおとうさんはカップボードと鍵の秘密を知っているばかりかLittle Bullとも面識があるようす。それに、Omriの大おばJessica Charlotの日記って何?
・・・ここで遅ればせながら、この本が5巻目であり、この本の前に4巻"The Mistery of the Cupboard"があることを知るのでした。
しまったあ。これはいつか読まなくては。
でも、一瞬「?」と思いながらも、簡単に前巻のあらすじを追いながら進んでくれるので、4巻を知らなくても充分楽しめました。
Omriは、父とともに、様々な試行錯誤の後、ピンチに陥っているLittle Bullの時代へとび、彼を助けます。そして、本当の別れをするのです。
完結編に相応しい、切なく美しいラストでした。最後に、思いがけず香るsweetgrassがとてもよかった。これだけでもう充分です。


さて、さまざまに移り変わる場面、時代、人々、そして、二人そろって過去へ遡る思いがけない方法の巧みさなど、最終巻にふさわしいおもしろさでしたが、そのうえでちょっと苦情。
GillonやPatrickを利用して、彼らの気持ちをあまりに軽んじる計画に腹が立ちました。
Omriは考え深い子。こんな計画に賛成するのが疑問です。Gillonは家族で行くキャンプを本当に楽しみにしていたよ。
Patrickは、自分の役割について前もって何の説明も受けなかったのです。そして期待でいっぱいだったのに、自分の仕事を知ったときには、もう断ることもできない状況だったのです。
これを計画したのがDad、あんただってことが凄く不愉快だ。大人の分別ってものはないのかね。・・・あったらこの本ができなかったか・・・
それがひっかかって、どうしてもこの最後の巻に今ひとつ乗り切れませんでした。
やはり、一巻が一番おもしろかったなあ。