Ghosts

Ghosts / Paul Auster


City of Glassに続くNew-York三部作の二作目。
City of Glassが手ごわかったので、これも覚悟して読みました、と同時に、Austerに再チャレンジ、何か手ごたえがほしい、と望んでいたのですが・・・

物語は、City of Glassをもっと簡潔にした感じ。ページ数も少なく、一切の無駄を省いてあっさりしています。
ある意味寓話っぽいかも。
まず、登場人物の名前が、Blue、Black、White、Brown、Gold、Gray、Green・・・すべて色の名前。つまり、名前さえも意味がない、といっているのでしょうか。

私立探偵Blue("City of Glass"のQuinを彷彿とさせる感じ)は、謎の男Whiteから、Blackという男を見張るように依頼されます。
ところがこのBlackという男は、日がな一日窓辺で書き物を続けるばかり。あとは本を読んだり近所に買い物に行ったり・・・特別なことは何にもなし。平和で退屈なルーティンな日常が繰り返される。
ところが、そういう男を見張り続けるうちに徐々にBlueの内面が変化していく・・・うわ、壊れるのではないか?City of Glassの終盤を思い出します。

浮き彫りになるのは、「孤独」
来る日も来る日もひたすらにひとりの男の日常を監視するうちに外界から孤立していくのです。
ghostsとは何か?
いつの時代にも、どこの町にもいそうだけれど、実は誰でもない、そういう人間たち。そして、実は誰もがghostなのだ、と思わずに居られなくなるのです。
都会の孤独。ぞっとする闇に震え上がるのです。

Blueもまた姿を消します。そして誰も居なくなるのです。
ここにとりのこされる私という存在さえも、確かではないような不安を残して・・・

三部作、あと一作残っているけど、Austerはしばらくお休みしたい。からっと明るい本が読みたいなあ。