リトルベアーのふしぎな旅 (リトルベアー3)

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リトルベアーのふしぎな旅(リトルベアー?)
リード・バンクス
渡辺奈津子 訳
小峰書店
★★★★


リトルベアー2巻「リトルベアーとふしぎなカギ」はおとうさんとおかあさんがパーティーに出かけた夜に起こったことが中心でした。
そして、3巻では、両親がパーティから帰ってくるところから始まります。
さてさて、
隠しようのない事件や冒険のさまざまな傷跡。
パトリックが家に戻らなければならないタイムリミットもせまっている・・・
しかも、小さい人たちは瀕死の病人ばかり。
この危機をどう乗り越える?

まったく、「嘘も方便」というか、嘘や隠し事の上にさらなる嘘を塗り固めて、おいおい、大丈夫か、そんな話にだまされるか、普通。綱渡りみたいで、ハラハラさせられっぱなし。
物語は複雑になるし、チェストと戸棚の魔法は、なんだか混乱してしまい、「ん?ここにこの状態で入るとあっちではどうなるんだっけ?」と困惑しつつも、先が気になって立ち止まっているヒマもないのでした。

すごくおもしろかったのですが、一巻のおもしろさにはかなわないと思うのです。あの余韻の深さも。
でもね、オムリが、もう2度とカギは使わない、と決心して、一生封印することにしたのは正しいことだと思いつつ、ほんとはちょっと残念。
そうしたら、訳者あとがきで、作者は4作目を執筆中(1992年当時)とのことで、あらあらあら♪ それはとってもとっても楽しみです。
登場人物もだいぶ増えましたけど、誰もが魅力的で、どの人にも思い入れがあり、またぜひとも会いたいと思うしね。

ちょっと横道ですが、オムリたちの学校の校長先生の発言「レッド・インディアン」という言葉に絡めての訳者あとがきがよかったです。
  >言葉にこめられた感情に敏感なのは、いつでも、その言葉をつかう側よりも聞く側ときまっています。
忘れてはならないことだと思います。