リトルベアーとふしぎなカギ (リトルベアー2)

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リトルベアーとふしぎなカギ(リトルベアー?)
リード・バンクス
渡辺奈津子 訳
小峰書店
★★★★


オムリは以前のリトルベアーとの冒険を物語に書いて、創作コンテストに応募したところ大賞を受賞します。
この作品は自分の作品というよりもリトルベアーやブーンがいなければ書けなかった作品であり、誰よりもリトルベアーに知らせたいと願い、二年ぶりに例の戸棚に鍵を差し込みます。
久しぶりに会ったリトルベアーはフランス人の不意打ちの銃弾を浴びて瀕死の状態でした・・・
ブライトスターによれば、彼らの村は壊滅に近い状態とのこと・・・

なつかしいリトルベアー、ブライトスター、ブーン、そして、オムリの友達のパトリック。
フランス人と、フランス人を手引きしたアルゴンキン族への復讐に手を貸すことになるオムリとパトリックですが、
実は、現在のオムリも、彼を執拗に追い回すスキンヘッドたち不良グループに手を焼いている状態なのです。

事情が一巻より込み入ってきて、現在のオムリの暮らしの周辺を舞台にしながらも、物語の中心はリトルベアーの暮らす村にありました。
現在のイギリスと16世紀のイロコイ族の村と、様々な時代のたくさんの人々。リトルベアーたち小さな人たちの存在感がぐっと増してきた感じがします。
勇気、友情、信頼、責任。ひとりひとりの登場人物がその言葉の重みをじっくりとかみ締めなければならない場面が何度もありました。

痛快なのは、現在のオムリたちが不良グループに立ち向かう場面。力では決してかなわない弱者のオムリが、策略(?)と援軍(?)の力を借りて、自分に降りかかる火の粉を払いのける場面は実にさわやかでした。

また、お気に入りは、自分の天性の職務に忠実な強ーい婦長さん。わたしファンです♪

今度の冒険では取り返しのつかない苦い体験をすることになる彼らですが、
苦くやるせない思いのなか、ひとつの希望を高く掲げ持つラストシーンがすばらしいです。