雪のひとひら

雪のひとひら (新潮文庫)雪のひとひら
ポール・ギャリコ
矢川澄子 訳
新潮文庫
★★★


空から山懐の村に落ちてきた雪のひとひらは、子供たちの遊びにつかわれたり、踏まれたりした後、
やがて春になり、解けて水になって流れていきます・・・
雪のひとひらの長い旅が始まります。

女性の一生を雪のひとひらになぞらえた美しい珠玉のファンタジー

流れに身をまかせるしかない。
抗うことのできない流れの中で、ただ流されながら、それでも色々なことを体験し、自らできることもあった。自分で運命を選択することはできなかったけれど、どのような姿勢で受け入れるかということは選べた。
出会い、別れ、喜び、苦しみ、平和、悲しみ、そして、孤独・・・
何も特別な人生ではない、ささやかな生ではあるけれど懸命に生きた。
そして、ふりかえってみれば、それなりに誰かのために尽くし、誰かを喜ばせ、そこにこそ自分の一生の意味があったのだと悟る。

自分や自分の身の回りのことだけでいっぱいのわたしが、人のために何ができたのだろうか。どんな役にたっているといえるのだろうか。
「ごくろうさまだった、さあ、ようこそお帰り」と言われるに値する生き方ができているだろうか。
たまにはこういうことをちゃんと真面目に考えるのもいいですね。
まあ、ささやかに生きてはいますけど^^

  >それらはいずれもいかにも広大に見えながら、
   ひとたびかの巨大な太陽や、月影や満天の星に思いをいたせば、
   まことに取るに足らないささやかさでした。