大正時代の身の上相談

Taisyo
大正時代の身の上相談
カタログハウス
筑摩文庫
★★★


読売新聞に「身の上相談」が登場したのは大正三年(1914)のことだそうです。
100年前の相談です。


これはもう、気楽にナナメ読みしながら、カルチャーショックを楽しみました。
難しいことはわかりませんが、笑い話のようでおもしろかったです。
で、
婚約前に男に接吻されて、自分は穢れた、と罪の意識におののく娘さんの相談におどろき、
頭の中は女の子のことばかり、払っても払っても払いきれない灰色の虫のようです、と悩む青少年に対して、記者様のお答え「小説を読むのをやめて古今英雄の伝記を努めて読みなさい。妄念が起こったときには冷水で頭を洗い、散歩をしなさい」
にすっかりど肝を抜かれ、
男たちの処女信仰にくらくらし、
人妻と兄妹のような清らかな交際を続けたいというわけのわからん青年の悩みに、またくらくらし、
職を転々としたもののどの職も自分には合わず、画家か文士になりたいから師を世話せよとの虫の良い願いに、恐れ入って、
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
だけど、この人たちはほんとのほんとにまじめなんですよね。なのに、笑ってしまってごめんね。
ああ、古きよき時代♪
でも、決して人間は変わっていないのですね。
わたしたちが抱えているあれこれの悩みも、あと100年たったら、こんなに笑える話になるのでしょうね。
深刻な悩みが他人から見たら「なあんだ、そんなこと」だったり、
相手のことを思っているつもりが実は自己満足だったり、利己的だったり・・・
ああ、そんなのばかりを集めてきたのかね、この本は。


あと100年たってもやっぱり人々は同じ様に悩み、
決して「古きを温ねて新しきを知る」という具合にはなっていないのでしょうかねえ。
くよくよと思い悩みそうになったら「100年後には笑い話」とおまじないのように唱えることにしようかな。