the curious incident of the dog in the night-time

the curious incident of the dog in the naight-time / Mark Haddon / vintage contemporaries


最初のページが第2章から始まっているので、「?」でした。次が3章5、7、11…素数を順番に並べた章立てになっているのです。
この本の語り手はChrisutpher。彼は、アスペルガー、数字に対してものすごく深いこだわりを持った少年でした。知能も大変高い。
物語のあらすじについては、アマゾン参照。


とてもおもしろかったです。
ただ・・・『自閉症の少年の成長物語』と呼んでいいのでしょうか。
成長したのでしょうか、Christpherは。この物語の中で。
感動しましたが、それは彼の成長に対してではなくて、ありのままの彼、そのピュアさに対してでした。
そして、「普通の人たち」とのあまりにも違う感覚がユーモラスで、「普通の人たち」とのすれ違いが単純におもしろいのと、その純粋なひたむきさがはからずも成し遂げたことの大きさに、心動かされたのでした。
この独特の文体。ただひたすらに彼が見たこと聞いたこと体験したことの羅列。また彼の興味の方向によって話は脱線して脱線したところで深く深く掘り下げている。
しかも一文がとても長く、コンマだけでつないでいたり・・・
読んでいくうちに、彼の心のありように同化していくような気がします。
この本を面白いと思って楽しめたことは、自閉症という言葉でひとくくりにするのではなく、これがchristpherなのだ、何億もの人間たちのなかの一人である少年の個性なのだ、と感じられたこと。そして、その少年がとにかく行動したことから芋づる式に表れた事実の大きさ、そして、結果的に良い方向に向かったことへの喜びでした。

  >…and that means I can do anything.