ぬまばばさまのさけづくり

ぬまばばさまのさけづくり
イブ・スパング・オルセン さく・え
きむらゆりこ 訳
福音館書店


「あ、ぬまこぞう」と次女が、車の窓から裸に枯れた潅木を見ていいました。
ぬまこぞう。懐かしい絵本の登場人物。
「ぬまばばさまのさけづくり」にでてくるぬまこぞうは、お日様が苦手で、朝になるとあわてて地面にもぐりこみます。
もぐり遅れたぬまこぞうは、足を地面の上に突き出したままかたまってしまいます。地面に突き出た枯れ枝はぬまこぞうの足です。


ぬまばばさまにぬまじじさま、子どものぬまむすめたち、ぬまこぞうたち・・・沼の家族。
夜になると、白いもやをたちのぼらせながら酒造りを始めるぬまばばさま。
こぶだらけの木の枝でかきままわすお酒の材料はかなりすごいです。
それを娘の髪の毛で漉して、樽に詰めて、栓に子がらすのくちばしをつかうのです。


この幻想的な美しさ。
冬を沼の下の土のなかで眠ってすごす沼家族が春をむかえる場面はよろこびにみちています。
北欧のひとたちの春に寄せる思いの深さをうかがい知るよう。


うちの子供たち、ふたりともこの絵本が大好きでした。
どーろりどーろりと鍋をかきまぜるのが大好きな子たちでした。