『ハッカー』   マロリー・ブラックマン 

ヴィッキーは、数学のテストの前の日に、先生のコンピューターから解答を盗み取った疑いをかけられ、停学になるかもしれない。真犯人はだれなのか・・・
と重たい気持ちで帰宅したところ、銀行に勤めるパパが銀行のお金を盗んだ疑いを掛けられて警察に逮捕されていた。
コンピューターを得意とし、簡単なプログラムも作れるヴィッキーは、弟のギブと協力して、
事件の真相を探るため、パパの無実を実証するため、銀行のコンピューターに進入する。

一気に読んでしまいました。
おもしろかったです。真犯人は読者には割りと早くにわかるのですが、その事件の経緯やら、ナゾをとくためにふたりの姉弟が協力して事に当たるところ、あれこれの障壁を乗り越えつつ、銀行のコンピューターに潜入するところ、学校のテストの解答盗難事件もまた、その過程で犯人がみつかっていくところなど、ほんとにおもしろいです。
ただ、残念なのは、わたしには、プログラムのことなどさっぱりわからないので、ヴィッキーの語る銀行プログラムに進入するための苦労とか、システム、それから、ナゾにせまるところまで(!)さっぱりわからないんです。
とはいいながら、そんなわたしでもしっかり楽しめる。知らなくても、おもしろさは損なわれることはありません。

さらに、ヴィッキーは、実はこの家の養子であり、自分だけがなんとなく余計者のような気がしてしかたがなくているのです。
ヴィッキーの、家族への思い、思慕、孤独感、義弟ギブに対するこだわりなど、が、事件解決までの道々、だんだんはっきりしてきます。
事件の緊張感の高まりは、ヴィッキーの居所のない思い(そして家族への強い愛情)の高まりの瞬間でもあるわけで、いろいろな要素をからめながらスピード感を落とすことなく盛り上がっていく物語に最後までもうドキドキでした。

最後に。自分でも相当甘いなあと思っているんですが、ラストのギブのあのひとこと、あの一単語に、いきなりぴゅーっと涙が出てしまって困りました。