『セバスチャン山のシーラス』  セシル・ボトカー 

シーラス・シリーズ 第五巻。

あとがきによれば、ここまでが、シリーズの第一部といえるもので、これでシーラスの少年期が終わるそうだ。
今までのほかの巻にくらべて穏やかな展開、今までの出来事や出会った人々のまとめ、それから、未来への橋渡しのような巻だったかな、と思います。

不思議な家族が再構築されていきます。
二人の捨て子の赤ん坊。
救貧院から連れ出したクリストフィーネ。
山の羊飼いセバスチャン。
川舟に密航してシーラスについてきたメリッサ。
カワウソ猟師とビン・ゴーヂックの家族。

不思議な地下道が張り巡らされた山の上に住むことになった、この新しい家族。
不安はいっぱいあるはずなのに、みんなの持ち寄ったもの、それぞれが持てる知恵、それぞれを大切に思う気持ちなど豊か、豊か。
これから寒い冬が来る。テーブルもない、それぞれに間に合うだけの食器もそろわない食卓。
でも、食事はおいしい。そろった顔は明るい明るい。