『ひみつの植物』  藤田雅矢

★そこらに転がる石ころにしか見えないころんとしたこれが植物だなんて。サボテンの仲間ですってね。この石ころの割れ目のようなところから、きれいな黄色や白の花が咲く。へええ~。

★発芽後、たった二枚の葉を生涯ひたすらに伸ばしつづけること、なんと千年(!)以上におよぶという、この不思議な裸子植物の名前はなんと「奇想天外」。さもありなん・・・

★これまたサボテンの仲間なのですが、まるいコロンとした形。根元が淡い緑色で、上のほうが、ドームの窓のようにすきとおっているのが、「オブツーサ」。ゼリーみたいだけど、硬いんだって。みてみたい。

★かぼちゃなんですけど、その名も「そうめんかぼちゃ」
食しかたは・・・輪切りにして10分ほどゆでるだけ。水にさらしながらお箸でかき混ぜると、あらら不思議。そうめんのようにほぐれてきます。三杯酢でいただくそうですが、どんなもんかな。味より、そうめんのようにほぐれる、というその瞬間を味わってみたいなあ。

★形の奇抜さで言ったらカンガルーポー。オーストラリアの植物だということですが、えーカンガルーの手ですかねえ。この複雑怪奇な形、色、なんと表現したらいいのか。・・・うーん、言葉で説明するのはあきらめよう。写真を見たら一目瞭然、うわあ、なにこれ、怪人!って感じなんだけど。

・・・まだまだ不思議な植物がたくさんたくさん。
この本を手にしたとき、ああ、これもトンデモ本の一種かしら、と思ったものです。だってあまりにも奇抜なんだもの。
だけど、これらの植物は本当に存在するんです。それどころか、これらのほとんどは、種または株を容易にお手ごろ価格で入手することもできるのです。
実際入手先の情報つき。
サ○タとかタ○イとか、その他よく聞く種苗店などで、種なら200円前後。株なら2000~3000円程度。
そして、育て方のポイントや、一つ一つの植物に詳しいホームページのURL付き、という親切さ♪

驚いたのは、ヒマラヤの幻の青いケシの花。満開の青い花のきれいな写真。これが今では一株1500円~3000円で容易に手に入る、というのです。知らなかった。いまや幻ではないのですね。・・・とはいえ、育て方はかなり難しそう。温度管理の如何によって、綺麗な青色の表れかたも違うそうです。

ほとんどの植物が、種や株はわりと容易に手に入るようですが、自分の手で育てる、となると、かなり難しいものが多いように思いました。 やはり、幻の植物達は、その生育の難しさで、幻の座を保っているのかもしれません。
そして、「この植物に会いたい」と心から望んで努力する人にだけ、その魅力的な姿をみせてくれるのかもしれません。
ずぼらなわたしは、ただ「へえ~」と言って、写真を眺めるだけですが・・・
ほどほどのマニアっぽさと、ほでほどの大衆性を持った、こんなおもおしろい園芸の本があるのだね、と楽しかったです。