『HOOT(ホー)』 カール・ハイアセン 

もう、帯。

アメリカからすごい本がやってきた。…」

この派手な文句、いたたまれない。ほんとにおもしろい本なんだけど。

「HOOT」――この不思議なタイトルは、フクロウの鳴き声を意味するのです。そして、表紙の青いバックに浮き出た目玉と三角のくちばしも当然、フクロウの顔を意味するのですが、この物語にどのようにフクロウがからんでくるのか、…そこがまずミステリーです。(すぐわかっちゃうんだけど)

子どもが主人公の本なのですが、この子ども達がおもしろいのです。現実にいるかどうかは置いといて、すごく個性的なキャラクターです。あのデッカイ(!)男の子と女の子。それから、走るのが得意の小柄な子。そして大人たちも、個性派ぞろいで、一度出てきた人物は決して忘れない。その行動はコミカルでありながら、内面のシリアスな部分まで、親近感を持ってしまいます。

最高です。
先に読まれたかたがディズニーかハリウッドの映画のよう、と評されていましたが、まさにそんな感じでした。最初から最後まで、トントントントントン・・・・・・とリズミカルに本に乗って滑っていってしまいました。
会話のテンポ、ぴりっと風刺の効いたユーモア、魅力的な登場人物。
どきどきわくわく、次はどうなるの??


おもしろく、わあっと読んでいるうちに、「あれ、環境問題」のど真ん中に到着してしまったぞ」と思うのでした。
コミカルに痛快に仕上がっているけれど、こういうことって日本でも、実際にあるのかもしれません。
そして、盛り上がりのサービスも最高、すかっと決めてくれた後のエピローグの余韻。ラストシーンの“スニーカー”がかなりかなり好きです。