『おにごっこ物語』  マルセル・エーメ 

「農場を舞台に二人の姉妹(デルフィーヌとマリネット)と動物たちとのふしぎな交流を描いた、フランスらしい味わいの短編集」とは、カバー裏の言葉。

オオカミ、キツネ、ウシ、雄鶏にガチョウ・・・農場や農場の外の森に住む動物達と少女達の会話がおもしろい。とぼけているのですが、風刺がたっぷりで、読み終わってからぞーっと背筋が寒くなったりします。
これはきっと子供と言うより、大人向けの寓話集ではないでしょうか。

「教育はたいせつなものであります」という郡長さんのお説教を鵜呑みにした姉妹がウシに読むことを教えます。すっかりかしこくなったウシは?
改心したオオカミやヒョウは少女たちと仲良くなるのですが、実は・・・おかしいんだか悲しいんだか。
もっとも残酷でこわかったのが「小さな黒いオンドリ」の話。キツネの嘘話にすっかりだまされて、近在の鶏と言う鶏を説得して、農場を出て、森へ逃げていく。大行列。先頭で、月桂樹の冠をかぶった黒いオンドリの凛々しいこと。でも結果は?料理の上に飾られた月桂樹の枝が悲しくて怖い。

結末が読めそうに思えるけれど、ひとひねりしてあって、なかなか読めません。

 純粋におもしろい、と思ったのは「ゾウ」の話。なぜあそこでゾウになっちゃうわけ?そして、最後の「ちゃんちゃん♪」って感じもよかったです。