ボートが欲しくてたまらないアレックが、ちょっとした行き違いから、ボートの持ち主になる幸運を逃がしてしまうところから始まるある夏の物語。 親切な老婦人のおかげで、ボートレースに出るためのボートを借りることのできたアレックが、さまざまな曲折の後に、自分の力でボートを手に入れることになる。 海にあこがれ、夏のおわりにボートレースに優勝することを小さな目標として練習して、いつかもっと大きくなったら大海に乗り出すことを夢みる少年。 まぶしくて、ちくっと痛いな。 絵に描いたような完全無欠なハッピーエンドじゃないのがよかったです。 アレックの気持ちに忠実に物語が進行していくので、こちらは、どっぷりとアレックに感情移入してしまい、彼といっしょにいらいらしたりどきどきしたり、くやしかったり、気持ちだけは、アレックそのものでした。 しかし、海の物語、少年の夏休みの物語なので、もっと爽やかで明るい感じを期待していたのですが、結構どんよりと晴れ間がない空のような感じでした。 アレックにすっかり同化している読者としては、結構ちまちまと傷ついたわ。 だからこそ、最後の章はさわやかでした。おさだまりのハッピーエンドの形にしない、それよりも、もっと心に沁みるハッピーエンディング、とてもよかったです。 雲が晴れて、さあっと夏の明るい日差しが戻ってきたような気持ちのよさでした。 |
2005/1
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