『子犬の生活 ダーシェニカ 』 カレル・チャペック 

コロコロとした子犬がさまざまなポーズでいっぱい遊んでいる表紙。かわいいなあ。カレル・チャペックが自身で描いた子犬、ダーシェニカです。
この本は、フォクステリアの子犬ダーシェニカについてのエッセイです。
手のひらにすっぽりおさまってしまう「なにやら白っぽいもの」、これができることは、ピーピーとなくことと、お乳を吸うときに舌つづみを上手に打つこと。
それが、大きく大きくなります。(でもまだ子どもです。)
巻末のたくさんの写真は、多才なチャペック本人によるものです。
「さいしょは手のひらにすっぽり・・・どんどん大きくなりました」
ということばがそえられた3枚の子犬の写真。少しずつ大きくなっています。…あれ?よく見れば(よく見なくても)3枚とも同じ写真ではありませんか。ただ、写真のサイズだけが大きくなっている。――こういういたずらが好きです。

少し大きくなった子犬はいたずらをします。ブラシをぼろぼろにされたって、カメラや洗濯物をずたずたにされたって、きっと作者は「こら」といいながら、笑っている。

「ダーシェニカが静かにおすわりするためのお話」、短いのが8つ。これがすきです。 はじまりが、
  >さあ、よく聞くんだよ、ダーシャ。
   ちょっとのあいだ、おとなしくおすわりしてくれたら、
   お話を聞かせてあげようね。……
が、好き。 フォクステリアのご先祖さま(?)の勇敢なお話、どうして、テリアが穴を掘るようになったか、というお話、さまざまな種類の犬たちの起源(?)
そらそら、はじまった、法螺話。と言いながら、くすっと笑ってしまいます。
そして、最後に、「犬が人間といっしょに暮らすようになったわけ」、これからダーシェニカといっしょにくらすのがどんな種類の人間なのか、そして、彼らと暮らすことがどんなにすてきなことなのか、話してきかせます。

そして、ダーシェニカはよそにもらわれていくのです。

  >…きみと人間をつなぐ絆は、血よりもずっと不思議で繊細なものなんだ。
   それが、信頼と愛情ってヤツなんだよ。
   さ、行っておいで。