『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス 

長女(小学3~4年生くらい)に読み聞かせたのが、この本との最初の出会いでした。
真夜中の古い大きな柱時計が十三打つところから始まる不思議な冒険。ないはずの庭、ないはずの時間・・・
はだしでそっと踏み入れる幻の庭。(昼間見ればつまらない駐車場でしかないところが)
不思議な少女との秘密めいた時間。・・・「時間」!・・・なんという不思議さ。

バーソロミュー夫人が眠る描写。
>「ベッドの近くのコップのなかにつけてあるいればは月の光のなかで不気味に笑っていたが、おばあさんのすぼんだ口もとには、やすらかな眠りのなかでたのしい夢をみているものの微笑がうかんでいた。」

バーソロミューおばあさん予備軍のわたしとしては、ううっ残酷とおもってしまった。この情け容赦のないリアリズムの世界。(それだけに最後がすばらしい)

最後のほう、ハティがだれなのか、たいていの人は、早いうちに気がついてしまうのでしょう。
でもぼんやりなわたしも娘も最後まで全然気がつかず、びっくり、そして感動でした。
最後のグエンおばさんのことばがたまらなく素敵です。アランおじさんに言うことばが。
子どもとともにこの本を読み、感動をわけあったこともうれしい思い出でした。