『夜中出あるくものたち』  ジョン・メイスフィールド

ケイ・ハーカー少年は、ひいおじいさんの宝物を捜し始める。
ひいおじいさんは、ハーカー船長だったとき、預かった教会の財宝を奪われてしまったのですが、欲得づくの後の人たちに、ひいおじいさんが宝をひとりじめにしたのではないか、と疑われていたのです。
ケイはおじいさんの汚名を雪ぎたいと考えます。
宝は複雑な人間関係の中、複雑な経路をたどり、最終的に、思いがけない人の手によって、ケイの住む屋敷か、その近在に隠されたらしいのです。
宝を狙って暗躍する魔法使いや魔女たち、その手下のネコがケイのまわりにちらほら…

これは、夢と現実のあいだみたいな、魔法みたいな世界で…なかなか頭を切り替えることができないわたしは、えーっ、ケイは何で当たり前のように、こういう不思議を受け入れちゃうんだろう、わたし乗り遅れてるよ、とあせりました。
ケイは「これは夢だ」と思いながら、自分に手を貸す者たちと真夜中の世界で冒険するのですが、朝目がさめると、夢ではなかった証拠に、夕べの冒険の名残がベッド周りにみつかるのです。
すんなり入っていけたらこれはとても楽しめる世界です。
だって、ケイを助けるのは、たくさんの魅力的な動物たちやおもちゃ、肖像画のなかの人物。人魚や、アーサー王と円卓の騎士まで出てきます。
海の底を人魚といっしょに泳ぎ、アーサー王に会うために騎士とともに馬に乗り剣を振るいます。
魔女の箒に乗って森の上を飛び、ねずみといっしょに模型の帆船に乗り込みます。 屋敷の中の秘密の通路をとおり、森の中の隠れ家を発見したり…これは魔法が働いているのです。

しかし、なんてたくさんの人の名前!(いえ、人だけじゃないのです、動物でしょ、おもちゃたちでしょ、人魚やら、昔生きた人、今いる人…)
しかも、関係が複雑で、一読しただけでは理解できず、こんがらかってしまいました。 そして、作者が楽しんで書いているに違いないと思いながらも、一冊の本の中にぎっしり詰め込まれたこのおいしいものの行列に、野暮なわたしは、楽しむより、疲れてしまいました。
長かったです・・・