『イグアナくんのおじゃまな毎日』  佐藤多佳子

小4娘が借りてきた本。
「おもしろいよー。最初のほうは『あー↓』って感じだけど、最後のほうは『あー↑』って感じになるから、頑張って読みな」と励まして(?)くれた。
作者は佐藤多佳子さん。これがわたしの佐藤多佳子さん初体験になりました。


「あたし」こと樹里は11歳の誕生日に体長1メートルのイグアナをもらった。くれたのは“徳田のジジイ”。
プレゼントとは名ばかりの体のいい厄介払いだった。
徳田のジジイはパパの大叔父であり、パパの勤める中学校の理事長。この厄介なプレゼントを断れば、パパはクビになってしまうのだ。
改築したばかりの快適なサンルームをイグアナの飼育室として奪われた小竹一家と、イグアナの飼育の責任を負わされた「あたし」こと樹里。
ふつうの家族がイグアナ一匹にふりまわされ、翻弄されて、そうして・・・

コミカルでテンポのいい文章です。
樹里の視点で書かれているのですが、この女の子が、なかなかクールでちょっと毒のあるユーモア感覚の持ち主です。
タイトルどおり「おじゃま」で、お荷物でしかなかったイグアナが徐々に、この家族の中で、樹里の中で、居場所を得ていく。そして、過激な文章が、やがて穏やかになっていく…のだが。
子どもの視点から見たら、そうなのだけれど、
わたしは、この親に、なんだか腹が立って腹が立って・・・
何故もっと毅然とできないんだろう。数々の不条理、ノーと言えない立場のつらさには、同情できるとしても、娘にすべて押し付けて、屁理屈言うのは情けないやらなにやら・・・。
ママもきゃいきゃい言って逃げ回ってて、だらしないぞー。
でも、この子の語り口の軽やかな毒気に救われてしまうのです。
そして、ちゃっかりと、イグアナがらみでちょっと素敵な(?)ボーイフレンドまでゲットしてしまうのだから、ふふふ、やるじゃん♪
樹里の書くイグアナの観察日記は素敵です。あはは、うちの子たちが赤ちゃんのときの「育児日記」に似てないか? (食べた物、うんち、遊び。イグアナも子どもも、育児のポイントは一緒かしらん?)
最後は、小気味良くて、清清しいのです。

こういうふうに言ってほしかった。言えてよかった。