『ヘムロック山のくま 』 アリス・デルグレーシュ

ヘムロック山と呼ばれる低い丘のふもとに住んでいる8歳のジョナサン。
お母さんが20人分のシチューを作れるように、ある冬の日、ジョナサンはひとりで、ヘムロック山のむこうのエマおばさんの家に、大きな鍋を借りに行きます。
でも、ヘムロック山にはクマがいるかもしれないのです・・・

台所でクッキーの型をぬいているおかあさんと、山を登っていくジョナサンが、知らずに同時に唱える歌のようなものが可愛いです。

   ヘム ロック 山 には、 クマ なんか いな い。
   いな いったら いな い、 いる はず ない。
   いない いない いない いない、 クマ なんか いな い。

なんとなくいい調子で、後に、家事をしながら、知らずにわたしも、唱えていました。

しんとした山の道は、少し不安。
でも、ジョナサンの持っているパンくずやニンジンを食べにくる馴染みの小鳥やウサギたちに和みます。

行きはよいよい 帰りはこわい
帰りの山道で、大きなお鍋の中に、すっぽりともぐりこんで隠れるところ、可愛くて、ふふっと笑ってしまったけれど、
小さい子どもは、ドキドキしながら読むのでしょうね。

最後におとうさんがおじさんたちと捜しに来る。
おかあさんが心配しながら外に出て待っている。
温かく守られている子どもの話は、危険に出会ったり冒険したりしても、なんだかほっとしてうれしい。

うちの子供たちが小さい頃(この話にドキドキするような年のころ)読んであげたかったなあと思いました。