『辺境のオオカミ』  ローズマリ・サトクリフ

ローマ軍の若き指揮官として北ブリテンに赴任したアレクシオス。
彼が指揮するのは別名「辺境のオオカミ」と呼ばれる誇り高いならず者たちの軍団だった。
帝国の辺境。さまざまな氏族間で紛争。
友情と憎悪、出会いと別れ。
やがて、アレクシオス自身、辺境のオオカミとして生きる決心をする・・・

なんとも読みにくい文体。原文がこうなのか、訳文のせいなのか・・・主語述語が掴みにくい上、文意がはっきりしない、示唆的な言葉は読み返しても意味不明。これを読むのは修行かと思った。
しかし、修行は、どうせやるなら、最後まで続けるものだ。
大丈夫です♪後半はもう、「読みにくい」なんて感じなくなります。いえ、状況は決して改善されたわけじゃないんですけど、気にしている暇がなくなっちゃうんです。
そしてラスト!修行が完全に報われます。

軍隊、戦時。この非日常的ななかで、司令官として、なにをどのように選択するのか。
選択肢さえ、ままならないとき、成り行きに身をゆだねるしかないとき、わが身を投げ出してその覚悟をしたとき、結局それが最良の判断であったと知ることもある。
美しい草原、田園、丘、森。そして、その地と一族に対する激しい愛情。のどかな日々に培った友情や忠誠心。
これらのあとに描かれた試練、憎悪。戦い、撤退。苦しい行軍。幾多の犠牲。ますます、はかないものが美しく思えてくる。

「おれたちは追われている群れじゃない。おれたちはあいつらの歯と同じ歯をもっているオオカミの群れなんだ――そしてあいつらもそのことを知っている。」

主人公アレクシオスの誠実さ。彼にだんだんと惹かれて行く男たちの偽りのない誠実さ。オオカミたちの結ばれた心、友であり敵である人への尊敬と友情。
これらがぎゅうっと濃縮されてつきぬけたような終章には本当に感動した。
最後まで北ブリテン最高司令官で終わろうとするマリウス伯父、あなたの甥もまた、あなたと同じ血が流れているということですね。
「お前の母親はまた泣くだろうよ。だが、お前の父親はお前を誇りに思うだろうな。」(マリウス伯父の言葉)
投げずにここまで読んで本当によかった。

ローマンブリテン4部作。その最後の作品だそうです。
・・・しかし、これ、ほんとに子どもの本?