『竜退治の騎士になる方法』 岡田淳

放課後、夕暮れの教室。
忘れ物を取りに戻った優樹と康男の前に現れたひとりの男。

“その人はジェラルドと名のり
「おれは竜退治の騎士やねん」と関西弁でいった”
と、これは、帯に書いてある一文。

メッセージ性が表に出すぎている本は好きじゃない、のですが、これは素直に読めて、素直にいいなあと思いました。
岡田淳さんの豊かなユーモアに彩られた巧みな話術のなせる技でしょうか。

竜退治の騎士って、小学校教師としての岡田淳さん自身ではないか、と思いました。
(教壇に立つジェラルドが岡田さんのように思えた)
竜と戦う場面では、「ああ、岡田先生、危ない!」と思ったものです。
子どもたちの目に竜が見えてくる場面もよかったです。
新たな夢を暖め始めた優樹と見守る康男、いい感じでした。

竜は、素直に自分を見つめれば、必ず見える。
ほんの少しの勇気と気づきだけで、竜退治の騎士になることは誰にだってできる。
そして、いつ始めても遅くはないんだね、と思いました。
私が今まで、竜に気がつかなかったのは、見えなかったのではなく見たくなかったのかもしれません。